整った部屋は美しい。美しい部屋は居心地がいいものだ。誰もがそれを目指そうとする。しかし、これにはコストがかかることを無視してはいけない。収納が足りていないけれども、高品質な収納をしてこれを解決しようとすれば牛歩になるということもあり得る。もちろん、片付けの基本は物を減らすことにあるけれども、それは一人であっても時間的制約、体力的制約に拘束されてなかなか進まないものであり、況や家庭生活においてをやである。そうすると、ここは暫定的にでもどうにかするよりない。そこでより同じ機能であるならば低廉であることを優先せねばならない。これを100円ショップで揃えようとすると小さいものであるとか、積めないものであるとか、あるいは積めるけれども引き出せないから上のものををすべて避けねばならないとか、そういう不都合に見舞われるのである。これではいつまで立っても片付かない。狙うのは、クリアケース、換言するとプラスチック製の引き出しである。これは中古が低廉で、新品だと1,000円超、2,000円ぐらいするようなものが200円やら300円やらで買える。最前も言及したように、積めないものは空間の無駄になりやすく、積めたとしてもどけなければ下のものが出せないようなのは、これも性の怠惰に対応できないのである。性が怠惰なものほど、ものを増やし、ものをしまわないのである。この原則を受け入れなくてはならない。要するに綺麗さを保つ、あるべきものをあるべき場所にしまうためには、面倒であってはいけないのである。換言すると、開ける、しまう、この2ステップ以上を要してはいけない。だから、たとえばゴミ箱の上に何かを仮置きするようなことがあってはいけない。こうなると、どかす、あける、しまう、で3ステップになるからである。故に、本当は収納の中の収納も怠惰なものにはハイリスクである。だから収納の中の収納は上が開いている引き出しのほうがより良いことになる。押し入れの中の工具箱やら薬箱ぐらいのものはどうせ現場へ持ち出して使うからいいけれども、なんでもかんでも収納の中に収納を入れると、バッグインバッグとは違って、酷いことになる。とにかく2ステップを実現するために最も低廉な方法を考えるべきであって、多くの場合、これは引き出しあるいはフロックのような投げ入れ型である。そしてこれを低廉に実現するのは中古のクリアケース1択である。シリーズが揃わないから嫌だと言いたい気持ちが分からなくもないが、まずはしまうことだ。そのうえで、次第に気に入ったものに変えていくのがいい。最初から理想に向かって邁進すると、却ってあるべき状態のうちの、収納されているという状態を実現するのに時間がかかってしまい、イライラで無駄遣いに走ったりなどしていよいよその実現から遠のくと言わざるを得ないのである。二度買えば無駄なようであるが、急がば回れ、損して得取れのドケチ道である。