今回のテーマパークを企画したマーケティング会社CEOの森岡毅さんは5日、東京・港区で記者会見しました。
森岡氏は、2010年、当時、利用者数が低迷していたユニバーサル・スタジオ・ジャパンの運営会社に入社し、マーケティングの責任者を務めました。映画「ハリー・ポッター」の世界を再現したエリアなど、新たなアトラクションの導入などを手がけて業績を回復させその手腕が注目されています。
森岡氏の5日の会見での主な発言の要旨をまとめました。
今回のテーマパークを企画したマーケティング会社CEOの森岡毅さんが記者会見で語った「イマーシブ体験」についても詳しくお伝えします。
総面積はおよそ3万平方メートルで、飲食店や土産物店も入ることになっています。
森岡氏が語ったエンターテインメントとは
《テーマパークは「感動発生装置」
今までテーマパークは何億という人を楽しませてきた。すばらしい感動の発生装置だというふうに思っているし、多くの人の働くすべ、生きる誇りになっている。
お客様を迎える側のシンガー、ダンサーなどたくさんのエンターテイナーが夢を持っているし、関連する業界の人、交通インフラから宿泊施設まで実に大きな経済的インパクトを持つ。
エンターテインメントなしで生きていけない》
一人一人がいろんなことに悩みながら、ストレスを受けながら、社会生活の中で精一杯生きている。
一時コロナの時には「エンターテインメントは不要不急である」ということを言われ、われわれはいろんな思いがあった。それを言った人にはいろいろな事情があると思うので理解はできるが、ただ私は少なくとも不急かどうかということは百歩譲って飲んだとしても、不要では絶対ないと思う。
エンターテインメントがないと人は生きていけないと思う。
生のよさをどんどん強化していく
このライブエンターテインメントの意義を一番体現したものは今までのテーマパークだった。テーマパークに行くと空間の中に自分が入り込み、世界観の中に浸りながら非日常世界の中に自分がいるという感覚はデジタルとは隔世の差がある。
生でしか感じられないことがたくさんあり、この生のよさをどんどん強化していくのがライブエンターテインメントのよさだと思う。この生の強さ、生の刺激にデジタルはかなわない。ただテーマパークが今までのままであれば、ライブエンターテインメントの未来は細っていくのではないか。
従来のテーマパークから、さらにライブのよさを思いっきり凝縮して進化させたものを世の中に生み出したい。それが「イマーシブ体験」をテーマにした新しいテーマパークの提案だ。
イマーシブ体験
とは
従来のテーマパークは中に入り込んだ時に世界観が再現され、当事者の気分にはなっているが、必ず自分が何か行われたエンターテインメントを横で見ている。そのすばらしさは分かっているが、それをもっと進化させたライブにしたら何が起こるか。
起こっている物語の中の当事者にすべてのゲストを入れていくっていうことにチャレンジする。これが「イマーシブ体験」だ。
一日何万人が来た時に、その何万人が安定して高い満足度を得るために、同時に同じようなすばらしい体験ができるよう設定するため、画一的な体験になる。
それよりももっと刺激が強いものは、自分だけにしかない瞬間、自分だけにしかない物語を自分を主人公として感じることだ。テーマパークの中で起こってることなのか、自分自身に起こっていることなのか、その境界線がわからなくなる。
その時に本当に自分では気付かなかったような自分の感情が湧き出してくる。この感覚を「これはテーマパーク体験ではなく、自分の人生の経験になったような気がする」と形容した人もいる。
核はライブの
圧倒的感動
テーマパークが何を売っているか分析した結果、東京ディズニーランドはハピネスを売っていた。「幸せだな」というのは6割の人が1番ほしいと思う感動だ。もう4割の人が1番ほしいのは興奮、エキサイトだ。ユニバーサルスタジオジャパンに関わった時に戦略の中心にすえた感情だ。
「ハピネス」を売っているテーマパーク、「興奮」を売っているテーマパーク、そして長崎のハウステンボスでは「憧れ」を売る。パークごとに1番核になる価値を設定して、ブランドをつくる。新しいパークで核にしようと思っているのは生の、ライブの圧倒的な感動の強さだ。
従来のテーマパークもすばらしいが、それより一歩、三歩、十歩ぐらい進歩させるために、世の中に生まれつつあるこの「イマーシブエンターテインメント」を投入させていく。