苦痛は心にある

 

 若し貴方の肉体に苦痛が起ってきた場合、その苦痛を実在だと思ってはなりません。苦痛と云うものは心の状態なのです。肉体は単なる物質として存在する限り苦痛は感じられない筈です。

 

 所謂 「物質」には知覚が無いからです。心が苦痛を感じ、心が苦痛を「実在」として感ずる限りに於いて苦痛は益々増大するのです。

 

 あなたの脇の下を人に触らせて御覧なさい。心がそれを気にもとめなば何ともないのです。心がそれをくすぐったいと気にし始めるならば、いくらでもくすぐったくてたまらなくなるでしょう。

 

 物質的事実はそれを心に掴まなければ何ともないのです。心にそれを掴み始めるとき苦痛やくすぐたさが出て来るのです。 「病気だ」 と思うとき、心がその病気をつかみます。其処から苦痛が始まるのです。