機嫌の悪さは人に感染する

 

 ご機嫌が悪いということは自分だけの問題であり、その時の生理作用で有り、頭の具合によるものであり、他の人の関することではないし、それは何も重大な事柄でもないと考えている人もあるけれども、これは非常に重大な問題なのである。

 

 人間は一個のラジオ・セットまたは生きたテレビ・セットとして、自分の気分に波長を合わせて物を受信し、受像して、それを自己の運命として、具体化するものだからである。

 

 機嫌の悪さは、単にその人一個を不幸に突き落とすだけではなく、その人に触れる殆ど全ての人に、その不機嫌を感染させ、他の人々をも不幸の運命に巻き込む事になるのである。

 

 だから、機嫌の悪さは、単なる自己虐待であるばかりでなく、他の人々をも不幸に陥れる罪悪であり、それを感染させて行くとき、大きな戦争さえも起こりかねないのである。世界の人々がフルシチョフの機嫌が良かったとか、悪かったとかで一喜一憂しているのもそのためである。