【シンガポール=小川真由美】安倍晋三首相は14日夜(日本時間同)、ロシアのプーチン大統領と訪問先のシンガポールで会談し、今後3年以内に日露両国が平和条約を締結することで合意した。また、来年1月にも首相が訪露し、プーチン氏との会談で詰めの協議を行うことも決めた。両首脳が事実上、期限を区切って日露平和条約を結ぶことを決めたことで、戦後70年以上、解決の道筋がつけられなかった北方領土問題は大きな転換点を迎えた。

 首相は会談後、記者団に「戦後70年以上残されてきた課題を次の世代に先送りすることなく、私とプーチン氏の手で必ずや終止符を打つという強い意志を完全に共有した」と語った。

 首相の自民党総裁としての任期は最大でも平成33年9月まで。首相とプーチン氏がともに在任中に平和条約を締結する場合、残された時間は3年を切っている。北方四島の元島民の平均年齢が83歳と高齢であることも考慮した。

 今回の会談は通算23回目。約1時間半の会談では、日露の防衛当局間の交流加速や8項目の経済協力プランの進展を歓迎した。11月30日からアルゼンチンで開かれる20カ国・地域(G20)首脳会議に合わせた首脳会談のほか、最終的な協議のため首相が来年1月にも訪露することも決めた。

 首相は会談後、「1956(昭和31)年の日ソ共同宣言を基礎として、平和条約交渉を加速させることで合意した」とも述べた。日ソ共同宣言は平和条約締結後に、北方四島のうち、歯舞群島と色丹島を日本に引き渡すと明記している。 width="1">

 領土問題をめぐっては、プーチン氏が今年9月、露極東・ウラジオストクで、首相に「一切の前提条件なしに今年末までの平和条約締結」を提案。首相は直後の非公式協議で「領土問題を解決し、平和条約を締結する」との日本政府の方針を重ねて伝え、プーチン氏の提案を拒否していた。

 

引用元:https://www.sankei.com/politics/news/181114/plt1811140033-n1.html