山犬 | シャオ2のブログ

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最近は着物と舞台に夢中

先だっての金曜日、劇団鹿殺しの「山犬」を見てきました。
ホントは行くの迷ってたんですよね。日程的に。
というのも、平日は仕事だし、土日のうち片方には既に予定が入ってるし。
おまけにこの土日は両日ともオットが趣味の謎解きに出かけると前々から言われていて、この猛暑で部活動中2回も熱中症で倒れかけた息子のことを考えると、遊びで両親が出かけている間に…とか思うとおちおち留守もしてられへんわけで。


けどさぁ、見たかったんだよ


まだ2回しか見たことない劇団だけど、かなり好みなんだ、この劇団。
今は座長(?)のチョビさんがいないけど。
オレノさんとか丸尾さんとか、好きなタイプの役者なんだよねぇ。イケメンじゃないけど。
役者のタイプは全然違うけど、田山涼成さんとかが好きっていうのと同じ感じで、好きなタイプ。
しかもさ、ホラーで鳥肌実氏も出るっていうし。
やっぱり見たいよね!ってわけで、仕事終わって即ダッシュしたらなんとか間に合いそうな金曜の夜公演に駆け込んできました。
ちなみになんで金曜夜かというと、息子の部活が午前中だけだから。
もし万が一倒れても、夜公演なら出かけるのが夕方以降なので対処可能なのです。
というわけで、無事に帰ってきてピンピンしている息子を確認してから行ってきました。


なんか前置きが長くなりましたが……
やっぱり観にいって良かった~
単純に、めっちゃ面白かったです、というにはちょっと語弊があるような気がしますが、面白かった

ホラーだけあって、人を不安に陥れるような音響が響くなか、人の持つ、無邪気さ、無意識の残酷さ、哀しさ、純粋さ、といったさまざまなものが混沌となって、観ている者に襲い掛かってくるような舞台でした。
鳥肌氏のどこか焦点の合っていない瞳とその中にある歪な純情。
少女の無邪気な残酷さ。
積み重なった小さな恨みの、極限状態での暴発。
知らぬ間に侵させられていた禁忌と、ひそやかな残虐事件。
それらをすべてみていた、「山犬」と、もう一人…

なんというか、観終わった後茫然とし、その後じわじわといろんな感情がわきあがってくる、そんな舞台。
タイトルの「山犬」は、ISOPPさんの演じた役のことであると同時に、人でなしである全ての登場人物のことなのでしょう。
とにかく圧倒的な舞台でした。

そしてこの舞台は、小劇場という、一番後ろの席ですら舞台上の役者の息遣いが見て取れる狭い空間の中で、生で繰り広げられる舞台だからこその作品だとも思いました。
おそらく、これをこのまま映像化しても、面白さも感動もなにもかもが中途半端に消えうせるだけでしょう。
役者の汗や息遣いを感じ取れないところでは、この表現は実を結ばない。
そういう舞台でした。

こうやって書きながら、まだ感情のどこかを揺さぶられ続けているのを感じています。
きっとどれだけ経っても、この舞台のことを思い出すと、どこか揺さぶられるんだろうな。
というか、思い出しても揺さぶられなくなったらお終いだという気がしています。