乗客の顔を覚える【39】 | 車内販売でございます。

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車内販売を15年半で11000回を利用してきた「車内販売大好きな乗客」が書くブログです。 多数の観光列車に乗り鉄しています。

 今回は、普通列車グリーン車に乗務している腕の良いグリーンアテンダントの話。

 定期券を利用して日常的に乗車している路線では、私の顔をアテンダントさんの何割かに、知られている。そりゃそうだ。アテンダントさんの側からすれば、50回以上も車内販売で飲み物等を売れば、特に話しかけなくても顔は覚えるだろう。(私が50回以上買ったアテンダントさんは、10人を超える)

 ところが、1回利用しただけでも、顔を覚えてもらったことが何回かある。

 

【その1】席を移動した客

 ある日、私は武蔵小杉から上りの横須賀線のグリーン車に乗っていた。乗って10分ほどして品川駅に着いた。

 

 私は車端席(定員8人)のデッキ寄りに座っていたが、アテンダントさんは品川到着前にデッキに向かって歩いていった。
 すると駅員が、駅備え付けの車椅子から、杖をついた老人を列車に乗せるところだった。アテンダントに手助けをするよう連絡が行ったようだ。

 ところが、足が不自由な客が、階段を使わないで座れる車端席は、窓際が全部埋まっている。私以外の他の3人は居眠りしたり、ヘッドホンを使って自分の世界に入り浸ったりしている。

 ま、いいや。車内販売が頻繁に回ってくる車端席が、私にとっては最高の席だ。でも隣の5号車の2階席に行けば、十分空席があると容易に想像がついたため、バッと移動した。(本音を言えば、私の隣・通路側に座られては、降りる時に面倒という事情もあった)

 2階席に移動したところ、東京駅まで乗務して交代するアテンダントさんが、最後の巡回に来た。私はスマホを操作していたので、顔が見えにくい状態のハズだったが、アテンダントさんが私の横で、こう言った。

「座席を移動していただき、誠にありがとうございました」

私はワイシャツにスーツ姿の目立たない服装で、目立たない髪形だ。顔もやや下を向いていたから、あまり良く見えないはずだ。にもかかわらず、正確に覚えていたのには驚いた。品川で結構入れ替えがあるのに。

 

【その2】7カ月前の客を覚えている

 ある日、終点折り返しで、そのまま降りずに乗務を続けるアテンダントさんがいた。グリーン車の座席の向きを変えて、座席に放置されたゴミを回収するために、専門の職員が何名か乗り込む。

グリーンアテンダントは、座席の転換をすることは、あまりない。

 ただし、例外が2つある。

 1つは「列車が遅れている時」で、10秒でも早く折り返すために、グリーンアテンダントも座席転換を手伝うことが多い。

 もう1つは「総武線の場合」である。総武線快速は、東京駅で5分折り返しが珍しくない。到着して客が降りるのに1分近く、専門の職員が清掃と座席転換に2~3分かけると、発車するまで1~2分になってしまう。かなりギリギリだから、総武線に乗務するアテンダントは、座席転換をする習慣がついている人が珍しくない。

 ある日、別の路線で、時間に余裕がある終点折り返しの時に、座席転換を始めたアテンダントがいた。

私は乗車してから、こう話しかけた。

わたし:「アテンダントさんが終点で座席の向きを変えるの、珍しいですね」

アテンダント:「えっ?そうなのですか?」

驚いた反応をしめしたので、私はこう続けた。

わたし:「めったに見ないですよ。まあ、総武線なら当たり前の光景ですけど」

アテンダント:「わたし、前まで総武線に乗ってたもので・・・(*^^*)」

 グリーンアテンダントは、全部で9か所のグリーンアテンダントセンター(GAC)のいずれかに所属する。新宿、大船、籠原、千葉、小金井、国府津、上野、東京、土浦の9か所だ。あまり多くはないが、途中でGACを移籍するアテンダントもいる。総武線で何割かの人がしている習慣が、他の路線では少数派になるわけだ。

 その7か月後、乗っていたら、アテンダントに再び会った。後ろから「車内販売で、ございま~す」という声がしたので振り向いた。すると即座に「あっ、以前は有り難うございました」と反応してくれた。

7か月も前に、たった30秒ほど話をした客の顔を、覚えていたことになるわけだ。何という記憶力だ!

 

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乗客の顔を、短時間覚えるのと長期間覚えるのは違うが、いずれにしろより適切な応対をしやすくする。乗客の顔を覚えるアテンダントは、優れたアテンダントの一つの条件と言えそうだ。