販売員の視野【32】 | 車内販売でございます。

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車内販売を15年半で11000回を利用してきた「車内販売大好きな乗客」が書くブログです。 多数の観光列車に乗り鉄しています。

 車内販売は、乗客の前から歩いてくる時と、後から来る時がある。
 前から販売員が歩いてくるなら、捕まえやすい。仮に無言で歩いていても、本を読んでいたり、スマホに集中していれば別だが、車内販売が来たと気づく。
 しかし、後ろから来る時は、「車内販売でございま~す」と声で知らせてくれないと、気がついた時には既に通過してしまったなんてことがある。
 後からの場合でも、腕の良い販売員は、通り過ぎて1列前に進んだとしても、気づいてくれる。腕の良い販売員なら、視野が広くて、客に敏感なのだ。
 今回は、販売員の視野に関する話。

【1】「こまち」の販売員
 
 視野を意識したのは、以前に秋田新幹線「こまち」に乗った時だ。この時は、車内販売員を捕まえるのに、一苦労した。
≪1回目≫後ろからワゴンを押してきた。私はワゴンを待ち構えていたが、連日の疲れでウトウト。販売員が「車内販売でございま~す」と声を出して飛び起きた。飛び起きた時は、販売員から見てナナメ45度前だった。かなり大きなアクションしたのに、無視して平然と通り過ぎた。
≪2回目≫このブログの原稿をできる限り車内で書いて、自宅に戻ったら写真を入れるだけにしようと作業していた。この最中に、前から無言でワゴンが通り過ぎてしまった。「買いま~す」とか叫べばよいのかもしれないが、早朝で寝ている人が多いので迷惑になる。追いかけていくには、隣のD席でテーブル出して寝ている人を起こす必要がある。やむなく断念した。
≪3回目≫後ろからのワゴンを、ようやく捕まえた。弁当を買う予定だったが、腕の悪い販売員から買うと、不味く感じそうで、リンゴジュースにした。
≪4回目≫前から戻ってきた。よく観察すると、何と客の方を一切見ていないのに気付いた。ワゴンの最上部か通路の先の扉に、目のピントを合わせているのだ。これでは客が飛び起きても、手を振ったとしても気づかないだろう。新人ならともかく、約1年以上の経験を持つ色のバッジをつけていたから、「何だこりゃ!?」と感じたのだった。
 
【2】人間の視野の広さ
 人間は、馬のような草食動物と違って、目は2個とも前についている。後ろは見ることができない。では、何度くらいの視野になっていのだろうか。
 学生の頃、「博物館の展示は、目から上に30゜、下に60゛の範囲でないと見てもらえない」などと調べた記憶がある。左右ではどうかというと、資料によって若干のズレはあるが、ほぼこんな数値になる。(ハイテクを駆使してグラフを作ることができないため、ローテクで切り貼りして写真に撮ったものです)
 
★人間の視野は200度近くある。後ろは見ることができないが、真横もギリギリ見ることができる。
★しかし真横だと、手を振るような大きな動きは気づくが、微妙な顔の表情は分からない。
★文字を読めたり、顔の表情に気づいたりできるのは、正面を中心に90゜くらいの範囲に限られる。

 
【3】左右を振り向きながら回る
 では、どうすれば良いのだろうか。
 特に後から車内販売に回る時は、客が気づくのが遅れがちだ。いくら「車内販売でございま~す」と言いながら回っても、イヤホンをしている客もいるから、左右を見ながら車内販売を回りたい。
 頭を左に45゜、右に45゜回せば、真横の客はしっかり把握できて、やや後ろの客も手を振れば気づくと思われる。
 90゜でなくて45゜なら、特に難しい技ではない。無理なくできる技術と言えそうだ。

【4】振り向く別の理由
 左右を見るなら、首は動かさなくても目玉を動かして確認すればよいのでは?と考える人もいるかもしれない。目玉だけでよく見える視野を45゜動かせるかは分かりにくいが、30゜なら動かせるだろう。
 ただし、首を動かすのには、別の理由がある。
 5年ほど前、普通列車グリーンアテンダントの中に、非常にしっかり振り向く凄腕アテンダントさんがいた。
 振り向く角度が、左に90゜、右に90゜と大きく首を振り、真後ろの様子も見える角度で振り向いていた。振る角度は45゜でも十分だと思うが、90゜の大きな角度だった。
 直接尋ねたわけではないが、おそらく角度を大きくした理由はこうだ。
『45゜でも、凄腕アテンダントさんなら後方を見ることができる。ただ、客はそんなこと分からない。左右に90゜振り向けば、客は手を振れば気づいてくれると容易に想像つく。買いたいサインを出せば、すぐ気づきますよ、と感じてもらうために、角度を大きくしているのだ
 
 このアテンダントさんは、こういうことがあった。
 夜のガラ空きの上りグリーン車に乗ったら、このアテンダントさんが車内販売のカゴを持たないで巡回してきた。私はわざわざ頼むのも気がひけるから、スルーした。ところが、すぐカゴを持って巡回してきた。わたしがカゴを持っているか注意を払ったのに気付いたようだ。
 「買いたいと、どうして気づいたのですか?」と尋ねたのだが、「この区間は距離が長いですから、2回まわったのです」と、とぼけられてしまった。(10分かからない区間だった)
 車内販売ではなく、航空機のCAさんにも、大きな角度で左右を見る人がいる。どちらかというと自分が客を見るというより、客に「みなさんの方をよく見てますよ。何か御用でしたらお気軽にどうぞ」とアピールしているように思える。
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 好き勝手なことを書いたが、販売員は大変だと思う。
 買う客がいないかと客の顔だけを見ていると、客が通路に足を伸ばしていて車輪で轢くかもしれない。後にトイレに行きたい客が立っていて、進むのを待っているかもしれない。もうすぐ停車駅で、自由席の空席を狙う客がドッと押し寄せるかもしれない(ワゴンを通路に置いたままだと大変だ)。 大変だが、頑張ってほしい。