車内販売事情【JR九州】 | 車内販売でございます。

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車内販売を15年半で11000回を利用してきた「車内販売大好きな乗客」が書くブログです。 多数の観光列車に乗り鉄しています。

 「最も車内販売に力を入れているJRはどこ?」という問いがあれば、私は「JR九州!」と答える。

 九州でも車内販売の廃止が進んでいるとはいえ、車内販売が盛んなJR九州について今回はまとめる。



【九州新幹線の車内販売】

■車内販売の有無

九州新幹線の博多~鹿児島中央間では、すべての「みずほ」と、「さくら」の大部分で、車内販売が行われている。各駅停車の「つばめ」には、車内販売はない。

  ◎みずほ

  ○さくら

  ×つばめ

 新大阪~鹿児島中央の「さくら」には、車内販売がある。

 しかし、博多~鹿児島中央間だけを運転する「さくら」は、列車によって異なる。早朝深夜には車内販売がない。

 詳しく知りたい時は、JRの駅にも置いてある「JR時刻表」(交通新聞社発行)には、表示してある。

 JR九州のホームページにも、車内販売の有無が記載されている。

https://www.jrkyushu.co.jp/train/service.jsp


■販売している物
 九州新幹線のワゴンは比較的大きく、様々な物が載っている。


ホットコーヒーは260円。他のJRより安いのは、ありがたい。

缶ビールは280円で、さつまあげ・竹輪と一緒に食べるのは、美味しい。

固いカップのアイスも、売っている。

定番の土産物も、いくつか売っている。

 なお、午後6時過ぎになると、弁当は品切れのことが目立つ。夕食を車内販売に頼るのは、品切れの可能性も考えた方が良い。




 ↑「さくら」で弁当が品切れだったので、小物をたくさん買った時の様子。


■車内販売の担当

 山陽新幹線と直通の「みずほ」「さくら」では、博多で車内販売の担当が入れ替わる。新大阪発の鹿児島中央行「さくら」なら、博多でJR西日本の客室乗務員がワゴンと共に降りて、博多から新たにJR九州の客室乗務員が乗り込む。

 そのため、博多を発車してしばらくは、ワゴンが回ってこない。自由席車に来るのは、久留米からと思って良い。

 販売している品も、博多を境に入れ替わる。弁当の種類も入れ替わる。もし弁当が品切れでも、博多を過ぎると買えることもある。


■親切な販売員が多い

 JR九州の車内販売員(客室乗務員)は、接客が非常に丁寧だ。新幹線は観光列車ではないが、親切で温かい対応をしてくれる人が多い。



【観光列車の車内販売】

 JR九州の自慢の観光列車でも、車内販売がある。地元の人の移動にはあまり使われず、主に観光客向けの列車だ。

■車内販売の有無

◎ゆふいんの森

◎指宿のたまて箱

◎九州横断特急 ◎くまがわ

◎A列車で行こう

◎あそぼーい

◎海幸山幸

◎はやとの風

◎いさぶろう・しんぺい

◎SLひとよし

 観光列車では、すべての列車で車内販売が行なわれている。


■観光列車はカウンター販売が基本

 観光列車の中では「九州横断特急」と「くまがわ」は、普通の特急のワゴン販売と、ほぼ同じ形式の車内販売だ。
 それ以外は、カウンターでの販売が基本となっている。(一部列車はカウンター販売とワゴンを併用)



 ↑この写真は「A列車で行こう」の販売カウンター。私は2013年8月、2014年3月と乗車したが、短い2両編成で乗客が多くはないのに、カウンターで飲み物を買いたいという客が行列を作っていた。



 ↑こちらは「あそぼーい」の販売カウンター。小さい子どもを意識した造りなので、「A列車で行こう」とは、雰囲気がまるで違う。

 一番長い「ゆふいんの森」「あそぼーい」でも4両編成だから、編成の中央のカウンターに歩くのは、抵抗はないだろう。


■販売している品物

 観光列車で販売している物は、厳選された主に地元の品だけだ。種類は多くない。

 比較的品数が多いのは「ゆふいんの森」だ。普通の缶ビールは無く、生ビールになる。スポーツドリンクやコーラも無い。ジャガリコや柿ピーも無い。東京や大阪から来て、「一番搾り」に「ジャガリコ」ではなく、思い出に残るような地元の厳選された品に絞っているのがわかる。

 これは2014年3月の「A列車で行こう」のメニュー。ワゴン販売と比べて、凝ったものが目立つのが分かる。

 一番品数が少ないのは「しんぺい」「いさぶろう」だ。普通列車であり、クリアファイルなどのグッズを売っているだけだ。ビールや弁当は販売していない。


■素晴らしい接客

 JR九州の観光列車は、接客が非常に丁寧だ。

 景色が良い場所を通る時は観光案内をしてくれる。

 天気が悪ければ「あいにくの雨で、残念ですね」、宮崎の土産を持っていたら「宮崎で観光されたのですか」などと話しかけてくれる。



 ↑この写真は、用意されている撮影記念ボードを使った記念撮影。ひねくれた私は、車掌用の帽子で顔を隠して撮ってもらった。乗客全員に「写真をお撮りしましょうか」と巡回してくれるのだ。

 ↓この写真は、「はやとの風」で駅に降りての下車観光をしている時の様子。

 この他、暑い日に直射日光が当たっている席の客がいたら、「今日は空いていますので、指定された席でなく別の席にお座りいただいて結構ですよ」とか「カーテンもありますのでお使いください」などと気を遣ってくれる。

 こういう観光列車に慣れていない人には、違和感があるかもしれない。だが、「やみつき」になる人も多い。



【在来線特急には車内販売が無い】

 JR九州の在来線の特急は、観光列車以外は2015年3月で車内販売が廃止されてしまった。乗客が多い「ソニック」「かもめ」にも、車内販売はない。

×ソニック

×かもめ

×みどり

×ハウステンボス

×にちりん

×にちりんシーガイア

×きりしま

×ひゅうが

×ゆふ

×有明
×川内エクスプレス

×きらめき

×かいおう

 車内販売王国・九州でも、車内販売廃止の波には、残念ながら抵抗しきれなくなっている。乗車時間は2時間程度の列車が多く、地元の人は困らないのかもしれないが、楽しみながら列車で移動するという観点からは、寂しい。
 一番極端なのは、「にちりんシーガイア7号」で、博多から宮崎空港までを5時間45分かけて走る。小倉・大分といった大きな駅でも停車は2~3分しかなく、食料の調達は無理だ。



 JR九州でも、車内販売は衰退しつつあるが、観光列車を全国に広めた元祖となった功績は大きい。

 JR北海道のグリーン車サービスをするアテンダントは、JR九州で研修してきた。観光列車の「水戸岡車両」が全国に広まったのも、JR九州で成功したことが大きい。

 観光列車での車内販売が素晴らしいのも、客室乗務員がJR九州が直接採用した職員だからだ。JR九州の社員(契約社員含む)だから、観光列車の色彩が薄い「九州横断特急」でも、無人駅から乗ってきた客に乗車券類を売る車掌業務を車内販売と兼ねている。

 採算が厳しいのは理解できるが、観光列車だけは何としても車内販売を続けて行ってほしい。