えー・・・少しだけ公開。まだ未完成で手探りなんでちょっと変かもしれませんがその辺は目を瞑って、生暖かい目で見ておくんなせえw
~お嬢なしでは~
ここは新宿の繁華街。
大きな横断歩道は信号が青になるたびに人の波を生み出してはかき消していく。その波間をサーファーのようにスイスイと縫っていく・・・とは、とても言いがたく人にぶつかっては頭を下げ下げしてる若者がいた。
「あのー。よ、夜のお仕事とか興味ありませんか?あ、あの、時給も結構高くって・・・」
スカウトと言うには余りにも口説きが下手である。今日は100人は声を掛けただろうか。どんなヘタなスカウトでも1人くらいは話しを聞いてくれる人数でも、
「いえ、結構です。」
「ウザイ。消えて。」
「ムリムリ。」
「急ぐんで。」
そんな言葉を軒並み返され続けていた。
信号が赤に変わった。がっかりしてるところを名前を呼ばれた。
「オイ!久遠!」
随分低い声で、近くにいたのに大声で呼ばれた。
「ハ・ハイ!なんでしょうか、早坂主任!」
「オマエさぁ・・・スカウト向いてないんじゃない?大人しく中でボーイしてればウデあんだからいいじゃん。なんでスカウトなんかするん?」
怒るでもなく、諭すように早坂は言った。
「はい、店長には言ったんですが・・・。ボーイの仕事は出来ても、女の子と会話もままならないんじゃこの先、役職も別路線で内勤とかになっちゃうよ?とか言われて・・・」
「だよなぁ。店長の言うこともわかるよ。それで自分でスカウトした女の子を入店させてそこから自信をつけようと。」
「そ、そうなんですよ!」
「まぁ女の子が稼いでくれりゃバックも入るし、言うことないわな。」
「あ、いえ・・。そこまでは考えていなくって・・・。」
早坂は久遠に缶コーヒーを差し出して言った。
「久遠、俺はオマエの事を弟のように思ってるぜ。ボーイ仕事なんか平日、オマエだけ居れば十分なくらいだ。目も行き届いてるし、それは誰から見ても立派な事だぜ。だけどスカウトは全く別な仕事だ。ぶっちゃけ、オマエにそのスキルは無いと俺は思う。多分、そのスキルの分、他の事が出来るんだろう。」
「主任・・・」
「ま。別に仕事に影響してるわけじゃないからオマエの好きにすればいいさ。飽きるまでやってみろ。ただし!無用なトラブルはしてくれるなよ?」
早坂の無骨な顔が笑みを見せた。
「はい!じゃあ次は・・・・あの子行ってきます!」
と言うやいなや、人波にダイブしていった。遠目に早坂も久遠の行く方向の女性を確認した。
「ぶっ!」
早坂は飲んでいた缶コーヒーを吹いた。
「ま・待て久遠!その子は間違いなく無理だ!」
黒髪のストレート。眼鏡を掛けた顔は凛として清楚。パンツスーツからはすらっと伸びた足がとても魅力的だ。普通に見て『美人系』であることは問題ないが、『オフィス系』である。夜の仕事とは全く無縁そうな女性であった。早坂の経験上、声をかけても成功する確率は低いし対象から外れるジャンルであった。早坂は久遠が、がっかりする度100%の女性に行って欲しくはなかった。誰が行っても断られる事は目に見えていたからだった。
「あ・・・あのぉ・・・」
「かーー!いっちまったよ!あのバカ!なんでわざわざ自分から!」
早坂は頭を掻きながらこれから起こるであろう不幸を想像し、嘆いた。
「あの・・・・」
女性は久遠より少し背が高い。その位置からキっとした顔で久遠を見ている。足は止まっていて久遠の方に顔を向けている。
「むっ?どういう事だ?」
早坂の経験上、その女性が話を聞く体勢に入っていたからだ。
「なに?ハッキリ言ってちょうだい。」
「あのっ!夜のお仕事しませんかっ!」
久遠にしては初めてはっきり言い切った。可能性は少なくても、ちゃんと自分のやってる事は伝えようという久遠なりの態度であった。
その言葉に対して、女性は表情1つ変えないで久遠に言った。
「いいわ。」