多くの賃貸物件は2年おきに更新のタイミングがやってきます。更新の際には更新料がかかるため、この更新料を嫌って引っ越しを決める人も少なくありません。しかし、不動産会社の社長である平松真実社長は、本当に2年おきに引越しをするのがプラスなのか、一度考えるべきだと主張します。

更新料を支払うか、それとも引っ越しの代金を支払うか、結局2年おきに何かしらの費用がかかるからです。だったら、更新料を支払ってでもとどまるという手も出てきます。今回は更新か、引っ越しか、そのラインを平松真実社長が教えます。

 

更新料はどれくらいかかるものか
平松真実

基本的に更新料は、家賃の1か月から2か月分が相場となっています。この更新料は他にも更新手数料や火災保険料、保証料などがかかるため、実際には家賃の1か月から2か月分以上支払うことになり、だいたい家賃の3か月分弱になるケースも。

家賃を支払う余裕はそれなりにあったのに、更新のタイミングで一気に財政難になるケースは多く見受けられます。そうならないために事前に更新の時期が来たことを連絡し、更新をするのであればこの日までにこれだけの金額を用意しておいてほしいという連絡が入ります。それを踏まえた上で更新するのか、引っ越しを行うのかが問われるのです。

引っ越しにもお金はかかる

平松真実
一方で引っ越しをする場合にもそれなりに費用がかかります。まず引っ越し先の家賃の支払いや仲介手数料、保証料、火災保険料や敷金礼金、最近とても多いクリーニング費用、鍵交換費用もかかります。もちろん引っ越しには業者が必要なので、その費用もかかるとなれば、時に家賃の半年分がかかることになるでしょう。

更新をするだけであれば、多く見積もっても家賃の3か月分ぐらいと考えると、更新をした方が安上がりです。もちろん敷金礼金を請求しないケースや、鍵交換費用やクリーニング費用などを求めないところもあるので、実際に家賃の半年分も必要ない場合もあり得ます。とはいえ、更新を嫌って引っ越しを選んだところで、その方が安上がりかと問われると言い切ることはできません。
 

更新の価値があるかないかを見極めるべし

平松真実
平松真実社長は更新の機会に、更新の価値があるのかないのかをはっきりとさせた方がいいと断言します。いわば2年おきに自分が住んできた家の通信簿をつけるような感覚で、この2年間にどんなことが起き、メリット・デメリットにどんなことがあったかを紙などに書き起こすことをおすすめしています。

これを行うことで、仮に引っ越しに気持ちが揺らぎ、物件探しを始めた際に前の家のメリットやデメリットを踏まえた行動がとれます。そして、基準となるのは前の家よりどれだけ良くなったかなので、もしもめぼしい物件がなければそのまま更新をすれば問題はありません。

人によっては2年おきに住む場所を変えたいと思う人もいるでしょうが、あくまでもその人の美学や考え方であり、それ自体が悪いわけではなく、精神衛生上、それで満足であればその判断は正しいと言えます。しかし、費用面を考慮して更新すべきか引っ越しをするべきかと考えている場合には、この2年間の良かったところ、悪かったところをまとめておくと整理がつきやすいです。

一番最悪なのはただ引っ越しがしたいと思い、引っ越したのはいいものの、前の家の方が良かったと後悔することです。後悔しないためにもメリット・デメリットを示し、このメリットのために引っ越した、デメリットをなくすために引っ越したと思うことができれば納得はしやすいです。折り合いをつけるためにも、家に対する気持ちはノートに書き留めておくと後々判断材料として効果的な活躍を見せるようになります。