売上高は10兆円に迫り、情報通信、社会インフラ、建設機械など様々な分野に子会社を持ち、世界中に知られた存在なのが株式会社日立製作所です。その会社で最高経営責任者、CEOを勤めるのが東原敏昭さんです。1955年2月16日生まれ、65歳を迎えた東原敏昭さんは徳島県小松島市の出身です。地元の高専から徳島大学工学部に編入して卒業、同期には青色発光ダイオードを開発し、世界のありとあらゆる電化機器などに革命を与えた中村修二さんがいます。


大学を卒業後日立製作所に入った東原敏昭さん、技術の日立ということもあり、設計や電力、医療など複数の分野を経験します。その後、30代でアメリカのボストン大学大学院に留学すると、2008年にはドイツにある子会社のトップとなって、日立の発電設備を宣伝して回ります。日本が世界に誇る大企業のため、東大閥などエリートの中のエリートが幹部になるところを、地方の国立大学出身である東原敏昭さんが社長になるのは異例と言われていました。しかし、これまでの実績などを踏まえ、社長の路線はむしろ当然とされ、異論はほとんどなかったようです。


社長としてバトンを渡された当時、前の社長たちがリストラなどを断行し、経営を行う上での環境を整えていた時代であり、当時の経営トップが高齢だったため、まだ若かった東原敏昭さんにバトンが渡されるのは必然でした。社長になってからは企業買収を進め、イタリアや日本など様々な企業を買収、成長を行います。一方、世界ふしぎ発見のスポンサーとしても知られ、CMには家電製品が多く出てくる中、自社のブランドテレビの生産をストップし、火力発電の事業を切り離すなど、得るものと捨てるものをはっきりさせる経営を行っています。改革の途上にあり、8000億円の赤字は昔の話、最先端技術を追いかける企業として生まれ変わろうとしている状況です。


東原敏昭さんの年収ですが、2018年3月期の役員報酬は3億300万円でした。社長になってから年々増えており、2017年3月期に比べるとほぼ1億円ほど上回っています。日立製作所の株をおよそ7万株ほど保有しており、時価総額は3億円ほど、1株あたりの配当が90円で、配当そのものは630万円ほどとそこまで多いわけではありませんが、役員報酬がかなり多いことはわかります。日立がどのような変革を遂げていくのか、そのあたりにも注目です。