2021年、共生経済の理論を世の中に説き、注目を集めた内橋克人さんがこの世を去りました。共生の在り方を問い続け、分断や対立、競争ではなく、連帯や参加、共同が大事であることを語り続けるなど、今の日本に様々な警鐘を鳴らし続けました。その共生という言葉を使い、1997年に立ち上げられた共生バンク株式会社。この共生バンク株式会社を立ち上げ、代表取締役CEOとして会社を引っ張り続けているのが柳瀬公孝さんです。

柳瀬公孝さんは時代を先取りして商売を展開する一方、資本主義に対する問題提起を行いながら、共生とは何か、共生がどんな幸せをもたらすのかを考えつつ、会社経営を日々行っている状況です。
 

柳瀬公孝さんの経歴



柳瀬公孝さんは1966年1月31日生まれで現在56歳です。元々は自衛隊で働いていたという柳瀬公孝さん。その後1993年に財産コンサルの会社を立ち上げると、その後不動産会社を立ち上げ、当時はまだ知名度が低く聞き馴染みもなかった定期借地権に関するコンサルティングの会社を経営します。この定期借地権を活用した分譲マンションを1995年に分譲するとコンサルに力を入れた会社経営に従事していきます。

その後定期借家法の制定に尽力すると2002年には「予防医学的健康自立支援システム」を立ち上げ、特許出願を行い、マニフェスト作成に関与するなど、政治や経済の場における発言、行動を積極的にとっていきます。共生主義に出会うのはこの時期で、共生の理念を様々な場面で実行しようとします。2011年には与野党にいる保守系議員を集めて超党派の議員連盟を立ち上げ、そこの事務局長を務めるなど、政治の世界でもその名を聞くことができます。
 

柳瀬公孝さんが着目した定期借地権




定期借地権は借地借家法の中で誕生した権利の1つで、およそ30年前に出来上がりました。一定の契約期間を終えれば土地の貸し借りの関係性は終わってしまい、その後延長することはできないというものです。土地を借りる側は安い値段で土地を確保できるのに対し、土地を貸す側は塩漬けのリスクを減らしつつ、仮に土地の値段が上がればそれを有効活用できるのがそれぞれのメリットです。資産家の財産に関するコンサルティングを行っていた柳瀬公孝さんはこの定期借地権に着目します。

現在共生バンク株式会社グループの下にいる「みんなで大家さん販売株式会社」は柳瀬公孝さんが立ち上げ、定期借地権を絡めた分譲マンション事業などを手掛けており、ファンドを活用した資産運用を行う会社になっています。この定期借地権を活用する方法はバブル崩壊後、土地の塩漬けが目立った90年代後半に積極的に活用され、先日閉鎖されたZeppTokyoも定期借地の契約を結んで立てられ、その契約が終わったことで閉鎖されてました。

2010年に契約の期限を迎えたものの、リーマンショックで再び間借りする状態となり、新たな土地開発計画が持ち上がったことで契約を更新しない形に。このように便利に土地を利活用でき、塩漬けさせないことは大事であり、それでも十分な実績を重ねることができます。柳瀬公孝さんはその未来が見えていたのかもしれません。

その後柳瀬公孝さんは定期借家法の成立に尽力。定期借家法は借地借家法を改正し、新たに追加された定期借家に関する部分をまとめたもので、実際には定期借家法という法律ではなく、借地借家法の改正した部分です。当初の借地借家法だと一定の期間を過ぎたら有無を言わさず契約を終了することはできず、貸した側は契約延長を拒む正当なやり方も与えられませんでした。柳瀬公孝さんを中心にそれはおかしいと立ち上がり、今の状態になっていきます。
 

柳瀬公孝さんが力を入れる共生の考え方とはどのようなものか




柳瀬公孝さんは自分の会社に共生というフレーズを用いているように、共生に熱心に力を入れています。しかし、そもそも共生とはいったいどのような考え方なのか。そもそも共生をどのように読むのかも人によって違い、多くの人は「きょうせい」と読むかもしれません。しかし、柳瀬公孝さんは「ともいき」と呼び、成田近くに街を作っていくプロジェクトでもともいきを用いています。

きょうせいと、ともいき、同じようで実は違う意味であることが指摘されています。きょうせいの呼び方だと文字通り、共に生きることを意味合いとし、お互いに手を取り合って頑張っていこうというメッセージ性が示されています。ともいきの場合も共に生きるという意味合いが入っている一方、もう1つ大きなメッセージが含まれています。それは命とのつながり。ご先祖様がつないできた命があり、その命は決して自分1人のものではないという考え方です。

命のつながりこそがともいきである、横のつながりも大事だけど縦のつながりも大事であるというスタンスがともいきです。柳瀬公孝さんはこのともいきを大切にし、外需を獲得して日本経済を蘇らせるために日々活動しているのです。
 

空港の近くに世界一の街を造る?




柳瀬公孝さんは2021年に「成田空港の隣に世界一の街を造る男」を発売しており、成田空港の隣に資産評価額1兆円の街を造ると豪語しています。そのプロジェクトの名前は「共生日本ゲートウェイ成田」。2021年には長崎大学やカリフォルニア大学などが共生バンク株式会社に最終プレゼンを行っています。単にショッピングモールを設けるのではなく、屋上や壁面の緑化やビオトープなど緑を最大限作り出し、ただただ儲けを優先せず、多くの人たちが共に生きれる環境をと整えようとしているのです。こうした取り組みは日刊スポーツを始め、メディアでも取り上げられています。

肝心の世界一の街ですが、成田空港から車で3分ぐらいの位置にあり、その広さは東京ドーム10個分ほど。かなり広いエリアに資産評価額1兆円の街ができるとなれば、相当な地域活性化になることは間違いありません。その中身は特産品が一堂に集まるショッピングモールで、常設の展示場、医療施設、アニメの劇場などを網羅するのだとか。いかに外需を獲得できるか、柳瀬公孝さんはそのあたりのことを考えて世界一の街を造ると豪語しているのかもしれません。
 

まとめ


柳瀬公孝さんは共生の理念を掲げ、共生を経営理念に掲げるなど現代の資本主義に問題提起を行っています。今後共生バンク株式会社が実際に大きな街を作り上げた時、日本の経済は大きな変化を見せるのか、そして資本主義ではなく共生経済にどれだけの興味が示されることになるのか、そのあたりも非常に楽しみです。ともいきの概念が1人でも多くの人に広まった時、日本人としてとても生活しやすく、新たな活力を持って前向きに暮らせるようになるかもしれません。