創業家一族の経営から全く違う人へのバトンタッチは想像以上に大変です。

代々創業家一族で経営してきた塩野義製薬株式会社で初めて代表取締役社長になったのが手代木功さんです。

 

1959年12月12日生まれ、60歳の還暦を迎える手代木功さんは、宮城県の出身です。

父親が転勤族だった関係で、何回も転校を繰り返した手代木さん。本来なら友達作りに苦戦するところ、転校して3日後に学級委員に選ばれるほど周囲に溶け込みやすく、お調子者だったそうです。


猛勉強の末に東京大学に入学すると薬学部に進学、しかし、研究が大の苦手だったため、当時営業職を探していた塩野義製薬に入社します。営業のつもりで入ったものの、配属されたのは開発部門。手代木さんは食い下がりますが、開発もわかる人が必要という判断で結果的に開発部門への配属が決まります。

入社から5年後、英語が全くできないにもかかわらず、ニューヨークへの赴任が決定し、新婚の奥さんを日本において英語を猛勉強し、英語で発言できるようになるのは1年以上たってからでした。


社長に就任したのは2008年ですが、この時、アメリカの製薬会社の買収を発表したものの、その製薬会社の経営が悪化し、塩野義製薬は大きく株価を落としてしまいます。

社長としての評価を一気に落とした手代木さんは苦境に立たされますが、そこから何とか持ちこたえた結果、3年後に信頼を取り戻し、他社が手を出していなかった感染症やメタボなどに力を入れ、塩野義製薬は大成功をおさめます。経営手腕は高く評価され、フォーブスジャパンが選ぶ、CEOランキング2016では7位に選ばれるほどです。


手代木さんの年収ですが、2018年3月期で1億6100万円の役員報酬を受け取っています。

2017年3月期は1億6200万円を受け取っており、横ばいです。資産に関しては定かではありませんが、毎年1億円以上の役員報酬を受け取っていることから、今後資産が形成されていくことになりそうです。


塩野義製薬のここ最近のヒット商品は、インフルエンザの治療薬「ゾフルーザ」です。

1回飲めばOKという簡単さや効き目の良さも手伝い、瞬く間に普及していきました。

売り上げは国内10位の3447億円、売り上げの9割強はゾフルーザのような処方薬です。

投資家から過去に失格の烙印を押された手代木さんですが、投資のプロの多くに最も信頼できる経営者と評価されるまでに至り、見事な成長ぶりを見つけました。