夕刻という時刻もすでに火が落ちないでいる、そんな季節がまたやってきました。

曇り空の大嫌いな僕にとっては心持ちの良い季節です。


打ち合わせの帰り道に携帯が鳴った。

二十年来の同業者からの着信だったが、客と同乗していたこともあり電話にはでることなく、事務所で折り返した。

同乗者の客に失礼ということもあるけれど、生業の話を他人のふんどしで相撲をとる人間に聞かれてはならない。

鵜の目鷹の目ロバの耳といって、口の硬い男は世の中にそうそう居るはずもない。



「どこか市内の貸し倉庫を紹介してくれないだろうか」そんな話の内容であった。

一昨年の初頭から一部の半導体部品が品薄になり、殆んど手に入らない状態が続いている。

完成品に至ることのない品が山積みになっているという。


アメリカとEUの描いたシナリオによって追い詰められた

ロシアが仕掛けた侵略戦争は終わりが見えない。

終わらせてはならない理由があるのだ。

半導体やエネルギーや食料を海外からの供給に頼る日本はゆっくりとダメージを受けている。

戦争や紛争を飯の種にしている大富豪や国家にとって、品薄と価格高騰はシナリオどおりの絶好の展開なのです。

反戦や反原発を口にすれば一律に共産主義者、社会主義者と同等の扱いを受ける世の中です。



(影の国)という詩集のなかにこんな詩がある。

ほんの一部を抜粋してお伝えしたい。


人々は

最早、昨日のこととして

忘れてしまったのだろうか


必勝の戦いに負けて

国中がペストにおかされたように黒焦げになったのに

猫背の男は

〜ああ、そう。

と、とぼけながら無責任にうなずく。


戦後の抑圧された環境のなかでも、命がけではっきりとモノの言える作家が存在していました。

命という奇跡を、命というなによりも大切な大切なものを、医者や科学者よりも理解していた詩人、二十四の瞳の著者、壷井栄の夫である壷井繁治の詩集。