彩は不安な表情を浮かべていた

(大丈夫やって。みるきーは彩にぞっこんなんやから。)

(そんなことない。)

(あるから。それより、曲の練習しようや。うちが歌いながらはまだちゃんとやってへんやろ。)

(せやな。やろ。)

それからも2人で練習が続けられた
短い時間で集中してやった2人だった


(とりあえず、今日はここまでにしよか。)

(まだいけるで。)

(もう、こんな時間やで?)

(あっ、ほんまや。んじゃ帰るな...)

(おぅ。あっ、日曜日まで都合のいい時練習しよか?)

(うん。頼むわ。)

(おっけー。じゃまたな。)

(じゃあな。)

そうして、その日は彩は帰った

彩はただただ美優紀に聴かせたい一心で、家に帰ってからも練習をした


トントンッ

朝、通学途中で後から肩を叩かれた
彩が振り向くと1人立っていた

(おはよう。彩ちゃん。)

(うん。おはよう。)

(ねぇ。ひどいんやない?)

(なにが?)

(私を置いて、1人で学校に行こうとするなんて。)

(なんや、その彼女と一緒に通学するのが当たり前やろみたいな言い方は。)

(やって、私と彩ちゃん付き合ってるやろ?)

(はぁ?もう...)

(一緒に行こう?)

(はいはい。)

美優紀といると自分のペースを崩される彩
ずっと一緒にいるのが当たり前になっているから慣れているし、それに嫌ではなかった
美優紀と一緒にいると、どんなことでもどんな時でも感情が豊かになるから...

(なぁ、彩ちゃん。)

(なに?)

(今日はバイトやっけ?)

(うん。3コマで終わりやから、それからバイトやで。)

(じゃあ、一緒に帰られへんのか。)

(ごめん。)