キーンコーンカーンコーン―。
「気をつけ、礼」
「「「ありがとうございました。」」」
授業が終わった。お昼まで少し長めの休み時間だ。
「火々!彼氏んトコ行こーよー♪」
甘ったるい声で流香が呼ぶ。
流香は最大の理解者だと想っている。
「えぇー、何で毎回毎回アイツに会いに行かなきゃ…」
「ホラホラ行くぞーっ!!!!!」
腕を引っ張られ、廊下に出る。
(良かった、いなくて。)
グループのメンバーが廊下にいない。
目の前には野球少年の集団。
さすが中学生男子だ。健全過ぎて困る。
「あっいた!甫嶺クーン♪」
呼ばれて振り返る。アイツの名前は甫嶺椋平。
鋭い眼光をこちらに向けている。
「ホラぁ、キレるよ?甫嶺はそーいうヤツなの。」
「甫嶺ク~ン???」
「あっ!もう止めろってば!!」
一応、好きな人だ。残念ながら両想いではない。
正確に言えば《好きな人から外そうか考えている人》である。
今のターゲットは、中学から一緒の若崗晴。
晴れると書いて、ジョウと読む。
名前、ルックス、顔、全てがパーフェクトだと想う。
話す機会があるからか、更に魅かれる。
でも、未だに誰にも言えないままだ。
まだ甫嶺の名前を呼ぼうとする流香を抑えるのに必死になっていると
「「うぉッ!?キャアアアアアっ!!!!!」」
2人でズッコけた。野球軍団の中に。
「痛ッてー…っ!」
目を開けると、目の前に晴がいる。
コケた俺を見て、大爆笑してる。
そのまま笑い続けられた。恥ずかしくは、無いけれど。
「…でね!マジカッコイイんだよ♪」
帰り道、またリアクションするのに疲れてしまっている自分。
とりあえず、何かしらの反応はする。
じゃないと、2回でも3回でも問いかけてくる。
自己中心的ってやつだ。
「超ウケんだけどーっ!!」
また無理にリアクション。
コッチの話なんて聞こうともしないし、話始めても割り込んで来る。
自己中心的な人は嫌いと言っていたが、充分自己中心的。
でもグループのリーダー格だから無視は許されない。
自分の心に暗黙のルールの様に存在しているのだ。
でないと確実にイジメられるから、表面的には一生懸命接する。
あーあ、コレだから女子は嫌いなんだ。
サバサバしている自分にも、腹が立つ。
話を聞くと、どうやら莉真はソイツが好きらしい。
莉真が前からカッコイイと言っているのは、緒野灯鴇だ。
絶対に気があると想ったが、本人曰く違うらしい。
俺で言う晴の様な存在らしく、毎日話題に出る。
偽りの中で2つの恋の花が咲く準備をしている。
情は一番、友情を壊す原因とも言われるのに…。