十ヶ月ぶりに、持病の耳の治療のため耳医者に行った。

その後、マニアックなマスターがいる喫茶店で、コーヒーミルと豆を買った。

家に帰り、買い物に出ている妻の帰宅を待って、昼食はトーストと即製ザワークラウトと引き立てのコーヒーでどうかと提案。

彼女が賛成したので、早速取り掛かる。

キャベツが蒸しあがったところでミルをガリガリとまわした。

沸きあがるようにして拡がる香りと手のひらに伝わる振動が心地よい。

妻は「優しい時間」とおんなじね、とミルを見て喜んだ。

私は見なかったのだけれど、彼女はあのドラマと主演の寺尾 聰のファンだった。


午後は庭の木の枝を切ってほしいという妻の要望に渋い返事をして、パソコンの前に。

外付けHDの中の古いファイルの整理。

すでに閉じられてしまったブログの記事の断片が出てきた。

私がコメントをつけたので、その覚えにページごと保存したらしい。


数年前のある瞬間の感情がフラッシュバックのように心をよぎる。


これも、久しぶりに手で轢いて入れたコーヒーの、あの優しい香りの効能だったのだろうか。