フルカワJAZZ道場 -31ページ目

フルカワJAZZ道場

お気に入りの1枚を探すために

1970年代~1980年代はフュージョンの全盛期でした。コマーシャリズムに乗り、多くの曲が人々に親しまれ、日本人のジャズ・プレイヤーも多く海外に進出しています。 では、その前は?その時期にメイン・ストリームなジャズはやっていなかったのでしょうか。
今回のテーマは「ニッポン・ジャズ」です。

 

「ソウルフル」

日野皓正クヮルテット
”アローン・アローン・アンド・アローン”より  
この最近「和ジャズ」としてレコード・コレクターやクラブDJが昔の日本人のジャズを集めるようになり、急激に注目されるようになりました。それらは市場に出回っている数が少なく、今では一部の復刻盤を除いてなかなか手に入りにくくなりました。
これは1967年日野皓正の初リーダー作です。アドリブのフレーズに後のフュージョンで成功した彼の片鱗はうかがえるものの、まだきらびやかなトランペット・サウンドにたどり着く前の演奏です。むしろ正統派のジャズ・プレイといってもいいで
しょう。
当時の日野皓正は白木秀雄クインテットに在籍しており、ベルリン・ジャズ祭にも同クインテットのメンバーとして出演し、
このアルバムのタイトル曲でもある「アローン・アローン・アンド・アローン」も演奏して、この録音はアルバムとしても出ています。
スイセンの曲は、テンポのいいリズムの大野雄二のピアノ演奏にのって、自由自在にソウルフルな演奏を繰り広げています。

 



 

「オーディオ・クリエイトvol.2 ジャスト・フレンド」

石川晶とカウント・バッファローズ他
”オーディオ・クリエイト ジャスト・フレンズ”より  
1975年リリースのこのアルバムは、A面とB面が違うバンドのカップリングになっています。とはいっても、何人かのメンバーの入れ替わりはあるものの、多くのメンバーが共通しているので、同じ演奏だと思いきや、A面はスタンダード・ジャズ、B面はスティービーワンダーやアース・ウィンド・ファイヤーなどロックテイストと、まったくカラーの異なったナンバーが並んでいます。共通するのはアレンジャーの鈴木宏昌だけ。彼は昔テレビのバラエティーで”コルゲンさん”の愛称でジャズを披露していました。
石川晶とカウント・バッファローズは、ジャズ・ロックで有名なようですが、ここでは堂々とるドライブ感のあるオーケストラル・サウンドをやっています。
アレンジがジャスト・フレンズのようにゆったり目の曲を少し速く、フライ・ミー・トゥ・ザ・ムーンを思いっきりゆっくり演奏したりと、メロディーを引き立たせて構成されているようです。
ライナーノートには曲やプレイヤーの紹介より録音機材や状態の方が詳しく載っており、”聞く前にオーディオのチューニングをしよう”と書かれているので、どうもオーディオ・チェック用のレコードのようです。録音はかなりいいでしょう。通常オーディオ・チェック用のレコードは、音はいいが演奏はよくないというのが言われていますが、バラエティーに富んだ選曲といい、アレンジといい、簡単にパスするには惜しいレコードです。

 

 

「ニカズ・ドリーム」

鈴木勲
”ストリングバンドフューチャーリング・イサオ・スズキ”より  
最近のマイ・ブームに”鈴木勲のレコード”があります。何の気なしに買った「ブルー・シティー」のレコードの演奏に打ちのめされ、いきなりファンになりました。
普通ベースで曲のメロディーを演奏しようとすると、どうしても音がくぐもったようになり、何かはっきりせずモヤモヤした感じがして、気分よく聞けたことがありません。しかし鈴木勲の”音”は抜けきっており、腹の底にズシンと響く。それでいて、演奏が重苦しくなることはなく、逆にウォームな軽快さを感じます。スウィング感というものでしょうか。
ここでは鈴木勲はピッコロ・ベースを弾いており、メンバーはハンク・ジョーンズ、ロン・カーター、ロイ・ヘインズとストリング・カルテットです。録音は1978年で、ちょうど”ライブ・アンダー・ザ・スカイ'78”で来日していた3人と共演したものです。
ストリングス物はよくありますが、さらにダブル・ベースというのはあまりないのではないでしょうか。明らかにベースに焦点がしぼられている感じですね。アントニオ・カルロス・ジョビンの曲「ラメント」が中でも一番ストリングス・カルテットとサウンドが融合していてカッコよさの極致です。

ジャズほどスタイルの変化が激しい音楽はないと思います。時には流行によって、半ば強制的にスタイルを変えざるを得ない場合もあるようです。その中で自分の意志を貫くこと(ジャズを演奏すること)は、美しい生き様のように思えるのです。政府が安倍内閣から福田内閣に変わりました。
地元としては、安倍さんに早く元気になってほしいです。

 

 

※この記事は数年前に書いたものです。