フルカワJAZZ道場:温暖化でも寒いものは寒い | フルカワJAZZ道場

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東京では雪が降りましたが、こちらは幸か不幸か
降らずにすんでいます。それにしても寒い、寒い。
水も凍るように冷たい。かぜを引いてしまって
なかなか直りません。
今回のテーマは「クール、コールド」です。

 

 

「お外は寒いよ(ベイビー、イッツ・コールド・アウトサイド)」

アン・マーグレットとアル・ハート
”美女とペット”より  
この歌は”母親が心配するから”とか
”父親が(娘の帰るのを待ちわびて)暖炉の火のはぜる音を聞きながら部屋をそわそわ歩き回る”からといろいろ理由をつけて早く帰ろうとする恋人を、”外は寒いよ””手が氷のように冷たいよ”
”もう半分飲み物を飲んでいきなよ、注ぐ間にレコードをいくつかかけるから”と、なんとか引き止めようとする”言葉のかけあい”のデュエット曲になっています。
このアルバムが作られた1962年はちょうどアン・マーグレットは歌手や女優として、アル・ハートはジャズ・トランペッターとしてやっと注目され出した頃で、のりに乗った歌が聞けます。
実をいうとこのレコードを買った当初、アル・ハートの演奏を聞きた
くて買ったのですが、歌が主で、しかも風貌とは違う甘い歌声だったので、さらに甘いアン・マーグレットの歌声とあいまって甘さにもたれるくらいの印象が残り、長らく聞いてなかったのですが、ひさびさに聞いてみると、甘さは感じるものの、アンマーグレットの表情豊かな歌唱とアル・ハートの歌の掛け合いが、まるでミュージカルの一場面のようで、拙いまでも辞書を引いて歌詞を直訳して、少しながら意味がわかってくると、見えるはずのない映像まで思い浮かぶようでした。その上楽器にアル・ハート・モデルと名前が付くほどのトランペットの名手たるアドリブも聞くことができ、意外と拾い物だったのだと気づく一枚なのです。
ちなみにアルバムの原題は”ビュティー・アンド・ザ・ビアード”(美女とほおひげ)といい、お察しの通り”美女と野獣”をもじったものです。

 



 

「クール・アイズ」

スタン・ケントン・オーケストラ
”ビッグ・バンド黄金時代 スタン・ケントン”より  
直訳すれば”冷たい目”。もっと深い意味はあるのでしょうが。
田舎から出てきた人が、都会の危ない場所に迷い込んだ時に浴びせられる周りからの冷たい視線や、ギャングが一仕事始めようとして、獲物をにらむ時のひしひしと伝わる緊迫感といった感じの曲です。
1940年代~1950年代に活躍したスタン・ケントン・オーケストラは、
実験的なビッグ・バンドというイメージが強く、楽譜も手に入らないせいか、学生だった頃(もう20年以上も前)は、九州では演奏する大学のサークルはほとんどなかったですね。グレン・ミラーやベニー・グッドマンほどなじみがなく、ベイシーやバディ・リッチと比べれば古い感じがやはりある。しかし改めて聞いてみると、アレンジもかなり凝っているし、ビッグバンドのリーダーになる前の
メイナード・ファーガソンがハイ・ノート(誰にもマネできない高音域!)を炸裂させていたことを考えると、ダンス・バンドと言うより聞かせるバンド、明らかにモダン・ビッグ・バンドの部類にはいるのでしょう。

 



 

「コールド・テーター・ストンプ」

クラーク・テリー・ビッグ・バンド
”クラーク・テリー・ビッグ・バッド・バンド・ライブ ”より  
このクラーク・テリー・ビッグバンドは1974年にアメリカ中西部の10日間の演奏旅行を目的に臨時バンドとして結成しました。そして1975年のダウンビート誌でニュービッグバンドの第1位に輝いた実力をもビッグ・バンドです。メンバーはリーダーでトランペットのクラーク・テリーをはじめ、サックス・セクションが
ジミー・ヒース、アーニー・ウィルキンス、フィル・ウッズ、ピアノにデューク・ジョーダンとそうそうたる顔ぶれです。
このレコードは1974年のウイチタ・ジャズ・フェスティバルでのライブ録音で紹介の曲はその最後を飾る曲となっています。臨時とは思えないほどの迫力のあるアンサンブルと、ジミー・ノッティンガムのミュート・トランペットのソロが楽しい演奏を繰り広げます。タイトルの”コールド”とは違う熱い盛り上がりの中、このコンサートは幕を閉じます。
このレコードの他の曲にはケニー・ドーハムの「ウナ・マス」が演奏されます。ジミー・ヒースの編曲により、コンボの曲のビッグ・バンド版というのを越えたダイナミックな曲になっています。原曲を聞いたことのない人でも、聞いたことのある人は更にぶっ飛ぶ、大興奮になること請け合いの一曲です。
画像が小さいのでわかりにくいかもしれないですが、ジャケットの表にはクラーク・テリー、裏面にはアーニー・ウィルキンスのサインが書かれています。いったいこのレコードどんな巡りあわせで自分の
もとに来たのか、不思議で貴重なレコードです。

暖房をガンガンつけているのも、結果的には
温暖化を助長するんでしょうが、
そうもいってられません。
皆さんも風邪には気をつけましょう。