吉田兼好児のイギリス日記  Hobby その2 ブライアンの怖い奥さん

◆“Isle of Man(マン島)”のプロレーサー・“ブライアン”が猛スピードで運転する手作りスーパー3輪自動車に乗って殺されかけた僕は、彼の自宅での夕食に招待された。ブライアンのレース用機械工房を見学した後、ブライアンの奥様“ジャネット”にお会いした。 ジャネット は、とても“シャイ”だった。彼女は、結婚して以来ブライアンとの間には子供には恵まれなかったようだが夫婦仲は実に好い、傍で見ている僕でも、さすがに“羨ましいな~あ”、と思うほどの「ベターハーフ(+)ベターハーフはベストワン」の愛情満杯のカップルだった。ジャネットは、危険なレース遊びに夢中の子供・夫“ブライアン”をはらはらしながら世話をやく母親だった・・・彼女は、僕の目には、“子供はブライアン一人でもう十分よ!“、と言いだしそうに映る・・、食卓を囲みながらも・ブライアンのクルマの話はえんえんと続き、マン島のモトクロスレースで転倒して死にかけたことなど危険レースのエピソードはつきない・・・笑い声の中で食事も終り、やっと居間に戻って3人でコーヒーを飲みながらくつろいでいた。話題が日本の事になり、ジャネットが僕に聞いた「ケン!、ワタシの“ホビー”はニホンのカルチャーやヒストリーだけど・・、ケンは二ホン生まれですか?」、ハイ!僕は、日本の南の島“TOSA”の生まれです・母は米国アリゾナの田舎街の生まれですが・・・、「そう~なの!、ケン・それでは、ちょっとお聞きしてもいいかしら?」、何でしょう?ジャネット・・もしや日本の歴史や文化について聞いてくるのかな~あ?・この話題はちょっと苦手だが・・、よわったな~・でたら・どうしよう??、「ケン!、”ヘイアン“エイジのレディのコスチュームだけどね・・」、“ほら・ほら”きたよ、「ケン!、どうしてあんなに沢山着るの?、ほんとうに重そうで長くて・レディには辛そうに見えるけど?、どうしてかしら?」、は~あ?、平安時代のご婦人の着物か!・・十二単衣のことだな?、しかし、“まいったな~あ、どうしてって言われても・な~あ・・、どうしてだろう?・・分からないや!、”ジャネット!ごめんね、そこの処は勉強不足で・どうしてでしょうかね~?ジャネット?・・。「ケン・そうですか!?・・、それではちょっと・こちらへ来て!、ケンにちょっと見せたいものがあるの!」。彼女に連れられてジャネットの書斎に入った・・、デスク横の壁側に小さなドア-があった・そのドアーをジャネットが静かに開けた・・・、何んと・そこは20畳ほどの書庫であった・・、それを一目見て僕は驚いたの“なんの”、そこには・ちょっとした図書館クラスの書物が“ずらり”と並んでいた・・、しかもその全てが日本の歴史や文化に関する図書だった・・・・、いったい何処から?・こんな数の日本に関する書物をコレクションしたのか!?、本当に驚いた。ジャネットは、ずらっと並んだ本の中から、一冊の本を大切そうに取り出して僕に見せた・・、やはり・ね、平安時代の絵巻物だ・・・、ジャネットの言う “沢山着て重そうで”・“長いレディのコスチューム” が描かれていた・・“怖いね”・ジャネットのHobby!は・・。