<僕のジャズギター物語>吉田兼好児の速筆ライトノベル随筆集「音の履歴書」より 音の旅路・ギター芸人

 

◆GIBSON L50の御縁とギタリスト。

田園調布商店街も、自由が丘商店街と同様に「夏祭り」が毎年恒例の行事となりアトラクションでジャズバンド演奏も始まった・・・クラリネット三上和彦バンドで・僕も、ギターバンジョーで参加した・また、クラリネット清水万紀夫バンドでは・ギターの川上和彦(アミーゴ川上)も参加した・・・。ジャズオーケストラ原信夫#&♭で抜群のリズムギターで人気があったアミーゴとも・渋谷ジャズ喫茶「スイング」で会ってから20年ぶりの再会だった・・その当時、順天堂の津村社長からGIBSON BARNEY KESSEL1965を譲り受ける際、手持ちのお金が足りなくて・それまで使っていたGIBSON L50を売ることになり・渋谷スイングの親父さんに頼んで「GIBSONフルアコギターSale!」の張り紙をしてもらっていた・・この店の常連客だったアミーゴ川上氏から電話があり渋谷「スイング」で会ったのが最初の出会いだった・・・結局、彼が求めるGIBSONフルアコのタイプが僕のモノと少し違っていたので・彼との売り渡しの話は、流れてしまったが、有名ジャズオーケストラでのジャズギターについて、色々と有意義な話を聴かせて頂いた・・、その後・僕のGIBSON L50アコは、渋谷「スイング」常連客の大学ジャズ研のギタリストの手に渡った・・。

◆GIBSON ES125の想い出。

バンドでのギター弾きを再開した当時、海外出張が2週間を超える時の旅行の相棒は・神田お茶の水の中古楽器専門店で購入したGIBSON ES125(セミアコ)だった・・・コンパクトで、旅行には最適な相棒だった・・・このギターには、忘れられない想い出がある・・。サンフランシスコ空港からDELTA航空機の乗り継ぎ便でボストンに向かう時、ギターを機内に持ち込めず、ギターケースごと段ボールで梱包させられ搭乗口で預けさせられた・飛行機がボストンに着いてもギターは、“待てど・暮らせど”、いっこうに到着しない!・・・困り果てて、DELTAの窓口に相談・調べてもらったら、何とこうだよ・ぶっきらぼうの応対で「ミスター、今、シンシナティ空港に着いているので・ちょっと待ってくれ!、ここで!・・」・・。その後の出張でも度々持ち込み手荷物でトラブルがあり、DELTAに乗るのは止めた・・。しかし、このギターでは悪い想い出ばかりではなかった・良い想い出もある・・・、スイスに出張時、チューリッヒのホテルに滞在した時、ホテルのピアノバーでマイアミから出稼ぎに来ていたジャズピアニストに会った・彼は、リズムマシーンの打ち込みで,独りで少し寂しそうに演っていた・・スコッチをロックで“ちびり・ちびり”やりながら、椅子にもたれてリラックスし、彼の演奏を聴いていた・・・、素晴らしいピア二ストだったので、話しかけてすぐ友達になった・・僕がギター持参で旅行している事を話すと、大喜びで・・結局、彼と2晩、ホテルのピアノバーで演って楽しんだ・・・。

◆GIBSON BARNEY KESSEL1965 CUSTOM。

津村コレクションから譲り受けたギター。ジャズオーケストラでよく使った。重くて腰痛になり、新車の軽自動車1台分の値段で売却した。

◆GRETSCH RANCHER (フルアコ)とスーパーギタリスト。

かなり歳下だが・僕が最も尊敬するギター奏者がいる・・和歌山県田辺市出身・法政大ジャズ研からプロに転向、原信夫#&♭で長年レギュラーギタリストを勤めた岩見淳三氏である・・彼は、ジャズギターでは最もむつかしいと言われるジャズの唄伴も別格の上手さで、リズムギター・ソロギター・何でも屋の“オールマイティ”のジャズギタリストである・・僕は若い頃、南青山の「LAMP LIGHT」(アリちゃんのピアノバー)・木曜日のジャズナイトのセッションバンドでリズムギターを弾いていた・・・、岩見氏が時折店に遊びに立ち寄り、僕のリズムギターの隣で、いつも“唄心ある素晴らしいソロ”を演ってくれていた・・・・。その後、長らく会ってなかったが・僕がバンドで、またギターを弾き始め再会した・・再会後は、時間があるときは彼のライブに立ち寄ったり・また、ギター1本で演る“目からウロコ”の岩見流ソロコードアレンジ譜を4曲ほど書いてもらったりで、親交が深まっていた・・・・・。その頃・会社のイギリス出張でロンドン滞在時は、定宿はピカデリーサーカスからほど近いフォートナム・アンド・メイソンの裏手にある「CAVENDISH HOTEL」だった・・仕事の空き時間に、地下鉄トッテンナムコートロード駅から本屋FOYLESに立ち寄り・その後、FOYLESの筋向通りに立ち並ぶ楽器店で・新古のギターや楽譜を、覗いてまわるのが唯一の楽しみだった・・。ある日、店頭に飾ってあるギターがどうしても欲しくなり・試し弾きをさせてもらい、気に入ったので店の親父と値引き交渉をした・・・しかし、店の親父は“ガン”として値引きには応じなかった・・、しかたなく・二日続けて試し弾きをしながら・店の親父に「手持ちの金が足りない!、何と値引きをしてくれない?!」と、泣きを入れた・・・、そのうち・親父が「YOUはプロか!?、今・使っているギターは何か?」と訊いてきた・・僕が「GIBSON BARNEY KESSEL1965 CUSTOMだけど・・」と応えると、しばらくGIBSON VINTAGEリストをめくりながら・・ぶつぶつ言いながら・・、黙って・値引きをOkayしてくれた・・・また、旅行でも丈夫なハードケースもサービスしてくれた・・・。そのギターがGRETSCH RANCHER (フルアコ)だった・・・。

◇イギリスから帰国後、ギターの改造調整の事で岩見淳三氏に問い合わせた・・彼から、東京でやっているプロのギター奏者が楽器の修理や定期調整で頼りにしているギター職人「田無のギター工房シャーウッド」の匠:太田氏を紹介してもらった・・・早速、ロンドンで買ってきたGRETSCH RANCHER (フルアコ)を太田氏の工房に持ち込み、僕の演奏スタイルを説明して、改造してもらった・・・フレットは、僕好みの柔らかな音が出せるクロム系に抜き代えた・そして新たに、GIBSONピックアップを仕込み、リズムギターでの刻みやコードソロでの生音の強弱用と単音リフやソロのアンプ音の強弱用との切り替えスイッチ、“トーン”・“ボリューム”の調整ユニットとツマミを、新たに取り付けてもらった・・・。このギターが、今でも使い続けている愛器である・・。

 

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