吉田兼好児の速筆エッセイ集「音も履歴書」より バンドはキューバの国家公務員 楽団“イラケレ” SOHOのジャズクラブ “ロニースコット が揺れる

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1976年.イギリスでの仕事場は南部ハンプシャー州ウインチェスターである。此処から列車や車でロンドンによく出向いた、片道3時間ほどの旅である。ロンドンの中心ビシネス街には営業や技術担当のオフィスワーカーが集まるパブも多く、情報仕入れの交流には欠かせない。仕事が終わった後はやはりジャズを聴きたくなり、師事していたウィンチェスターの研究所のボス)ジョンの薦めでロンドンSOHOにある「ロニー・スコット」に立ち寄った。このジャズクラブは 1959年開店の老舗クラブで世界のトップクラスのジャズ奏者や歌手が出演するクラブである・開設者はロンドン出身のテナーサクソフォーン奏者Ronnie Scott、世界のジャズ通にはよく知られているが・・・。その夜のプログラムはキューバのラテンジャズオ楽団「イラケレ」だった、団員は全員が職業音楽家(国家公務員)、料金は一人・1ドリンク付き12ポンド(当時の日本円6000円)だった。「イラケレ」とは西アフリカ・ナイジェリアなどの言葉で「菜食主義者」の事らしい。後で知ったことだが・イラケレ(Irakere)は、ピアニストのチューチョ・ヴァルデースをリーダーにして1973年に結成された楽団で1980年にはアルバムIrakereでグラミー賞を受賞したと聞く・・・。

その夜のロンドンSOHO、初めて聴くキューバのジャズ・・とにかく・凄すぎる!、ドラム・パーカッション軍団の強烈なラテン複合リズムに乗っかる管楽器軍団・・・、ただ唖然!、言葉を失う!、これぞ!ラテンジャズ、聴きながら身体の揺れはおさまらない、立ち上がって踊りたくなる・そんな気分・・・、演奏が終わった後も余韻は冷めやらず、帰りの列車の中でいつまでも身体でリズムをとっていた・・・忘れられない「IRAKERE」、超ゴキゲンなキューバの国家公務員ジャズ楽団だった・・。

 

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