<にやんの悩み・満月の夜>吉田兼好児の速筆エッセイ集「土佐日記」より 子猫のぼやき 悩ましいお母さん 親父の背中

お母さん、ボクはこんなにパパの違う妹や弟達と一緒に寝たくない!、いくらなんでも・これじゃ、たしかに、この処・ママは変だったよね、夜になれば急に元気になって、一段と大きな声で唄うし、落ち着きがないし、何時もソワソワして、急に嬉しそうな顔したり、時には泣いたりして・さ、また変な冗談を云ったり、食事中にボケっとして・何時も夢中で食べるクッキーを落としたり、突然狂った様に家の中を走り回ったり、そう云えば、最初のパパが家出した後から急に、毎晩の様に入れかわり立ちかわり、違ったイケメン君がドアをノックする様になったよ、ノックの音だけで、ママはソワソワ・浮き浮き気分になり、外のイケメン君の唄にハモルし、そして、突然飛び出して二人で夜遊びだよ、何処に行くか知らないけど・まったく、ボクは何時も独りぼっちだった、本当に寂しかった、それに決まって、イケメン君と家を出た時は・必ず朝帰りだった、寝ボスケのママは本当に嫌だよ、朝食係までやらされるとは・な~あ、うすうすは感じていたけど・まさかこうまでとは、呆れてモノが云えないよ・まったく、、しかし、どう考えても・ママはそんなに美人顔ではないね、でもたしかに友達の云う通り・オトコ好きのする顔かもしれないね、息子のボクが云うのも変だけど、ママは何と云っても・ハートが凄く善いものね、モテルはずだよ、だけど、モテルことはとても好い事だと思うけど、モテ過ぎるのも困りもんだよ・ね、、しかし、今回は本当にやっかいだ、弟妹のパパがよ・みんな違う、先が思いやられるよ、あ~あ・困ったもんだ、今夜は眠れそうにないよ、こんな時は想いだされるよ・パパの事、あの夜のあの満月はきれいだった、可愛いニャン娘が小窓からにゅっと顔を出したら、パパは唄いながら浮き浮き気分で、そっと玄関ドアーを開けて、そのまま出ったきり、ボクはママから後で聴いたけど、パパは家出したんだよ、たしかに・こう云っちゃなんだけど、息子のボクが大目に見ても、あのニャン娘はママより美人だった・それは云えるよ、しかし今頃パパは、何処で如何しているのかな~あ、思い出すな~あ・パパ、今夜は満月だし・パパにお礼を云おう、ママも育児疲れでぐっすり眠っているし、大声で云おう、『パパ、ボクは男の子に生まれて・本当に好かった!家出したパパ・ありがとう、もう帰って来なくても・いいよ、この次は・ボクが家出する番だから・ね、』。

速筆作家 吉田兼好児シリーズ 船の翼: 速筆作家吉田兼好児の世界 | 吉田兼好児 |本 | 通販 | Amazon