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シリーズ2イギリス旅情

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吉田兼好児の異国日記〈恩師のチケット〉

 

 

そのジャズコンサートは1974年夏。会場は、イギリスのウインチェスター・ギルドホール、亡き英国の恩師John Morgan が、僕がジャズファンと知って招待してくれた。裸電球の薄暗いコンサート会場は超満員、ステージが始まる前から、観客は大興奮であった、僕はこのヴァイオリン奏者を全く知らない、ステージが暗くなり、ウッドベース、リズムギターとリフソロギターのリズムセクションがイントロから1コーラスを終えて、ヴァイオリン奏者が入った、曲はHoneysuckle Rose、観客は2小節ぐらいで、もう拍手、その奏者が描くストレートメロの上手さ、ソロのスムーズな唄いとテクニックに、僕は、ただ茫然と、ヴァイオリンの音に夢中で、聴きいっていた、コンサートが終わっても、音の余韻が夜通し続いて寝付かれなかった、イギリスから帰国する時、ガドウィック空港で、恩師がLP盤をプレゼントしてくれた、日本に帰りジャズ評論家瀬川昌一先生に、この奏者の事を尋ねた、瀬川先生は、『この方のコンサートにイギリスで行ったの!?それはラッキーですね,素晴らしかったでしょう!彼は、大変な世界の第一人者ですよ』。静かな土佐の月夜には、彼のジャズヴァイオリンを聴く、イギリスの旧都ウインチェスター、咲き乱れるバラの道と小川、歴史を刻む寺院の壁、ケンブリッジ大学出身の誇り高い学者・ウエールズ人の恩師、あの時聴いたヴァイオリン奏者の音色は、何時も、心をバラ色に染めてくれる、想い出の一枚のチケットが、今も、セピア色のアルバムに残っている。ステフェングラペリ、やはり、いいね。