<焼きトリ屋の煙>吉田兼好児の酒場放浪記、煙が目にしみる

◆平成14年夏に高知に帰るとき、東横線)田園調布駅近くの居酒屋“やきとり「平八」”に立ち寄った・・・此処の親父さんには7年ほど大変お世話になった。勤めていた会社の社宅マンションが「平八」から徒歩1分ほどの距離にあったので夕食時によく立ち寄った・・・高知)安芸の銘酒「菊水」が常時置いてあり、何と言っても平八の焼き鳥・とくに「豚焼き」は、絶品であった・・・。昭和36年に上京した当時、大森春日橋近くの酒屋2階が下宿先だった・・その下宿屋には高校の先輩3人・同級生1名、僕を含めて5人が一緒に住んでいた。土佐の先輩に連れられて大森駅・路地裏の「ヤキトリ屋」にもよく行った・・。初めて先輩と一緒にその「ヤキトリ屋」に行った時、田舎者の僕はてっきり“鶏焼き”と思っていた・・、親父が団扇片手で焼いている様子は…油ボウボウ凄い煙、どれもこれも油ギンギン焦げ茶色・ところどころ黒焦げ、竹串の“ヤキトリ”・・しかしその味は、すごく旨い!!。これはいったい何だろう?、と、先輩に聞いたら…「オマさん、東京のヤキトリは全部が豚ぜよ!、旨けりゃ犬猫以外ならそれでえいぜよ…鶏よりは、豚が絶対に旨いぜよ!!」、と・・。それ以来…土佐に帰ってもヤキトリは豚焼き!!、と、いまだに心得ている・・・。

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