<スピッツ犬の遠吠え>土佐の黒鯛釣り師 早朝の会話 犬小屋の“たっすい”寝言

おはようございます、釣れます?・名人、おお・誰かと思ったら、オマさんか・よ、“お・お”釣ってるじゃないの!・さすが名人、まあ・まあじゃ、デカくもない・チョンマイでもない、中途半端なクロばっかりぜよ、オマさん・この処顔見なかったが、出張しちょったが・かよ、はい・そうです、ちょっと大阪支店の営業会議でね、そうか、オマさんは高知本社の営業部長だったの~お、オマさん・関西人かよ?、いや・違いますけど、僕は生まれも育ちも東京日本橋です、、江戸っ子かよ、そ~かよ、オマさん・どうりで垢抜けしてると思ったぜよ、、名人・僕の家は祖父の代からの糸問屋でね、今は私の兄が三代目の社長をしています、、ほ~お、それは・それは、釣り糸の商いかよ?、いや!、それは商っていません・刺繍糸の方です、、やっぱり・な、オマさんは見かけは優しい!・うん確かにな、、えっ・そうですか~??、、そりゃ・オマさん、刺繍は女のやる仕事ぜよ、オマさんの爺さんも親父さんも刺繍の仕事じゃろうが、3代目の孫が隔世遺伝で一番女ぽくなるがぜよ、、そ~かな~あ、でも・そう云われてみると、兄貴は確かに心優しいよ、深川・浜長の芸者にモテるからね、、そうだろ~・3代目は一番才能が華開くもんよ、うん~・やっぱり兄貴はそうですね・確かに、でも・ちょっと芸者にモテル処が気になりますが、、処で名人、土佐弁の『“たっすい”がは、いかん』という意味・あれは何です?、何でそんなことを訊くがぜよ、ワシの一番嫌いな・土佐弁ぜよ、いや・そんな土佐言葉ですか!、その言葉を聴いたら・虫唾が走るぜよ、、やはり訊かなきゃよかったかな?・・、名人・ね、実は帰りの飛行機の中で、キリンビールの宣伝文句に『“たっすい”がは、いかん』があったもんで名人に訊いてみたんです、教えてくださいます?・名人、、オマさん・土佐で一番売れてる三菱弥太郎系ビ―ル会社の宣伝文句を持ち出したかよ、ワシはビールを水代わりに飲むが、“たっすい”がは、いかんぜよ、この意味かよ?、オマさん・よくそこら辺りにいるじゃろう~、人の影に隠れて・口ばっかりで、人から反対されると妬けに吠えまくり、いざとなったら言い訳ばっかりする・口から先に生まれた様な奴よ、外で喧嘩する度胸もない・犬小屋で吠えまくるスピッツみたいな奴、土佐のハチキンやイゴッソーに一番嫌われる・まっこと好かん奴よ、、うん・うん、いる・いる、居りますね、確かにうちの会社にもそんな男が・・、オマさん『“たっすい”がは、いかん』云うたら、東京弁で『中途半端は駄目だよ、だって・さ、そうでしょう!』と云う意味ぜよ、処でオマさん・大阪支店の営業会議に行ってたかね~?、そう云えば・大阪にも居ったな~あ、外で喧嘩する度胸もない・犬小屋で吠えまくるスピッツみたいな奴が、命を賭けて戦って死んだイゴッソー龍馬・弥太郎・海援隊の旗文字【船中八策】モドキな奴、土佐では最も人気のないイゴッソー・ハチキンの嫌われ者が・・そう云えば大阪の何処かに居ったな~あ、喧嘩やるなら犬小屋に閉じこもってないで外に出て来いや!人見りゃキャン・キャン吠えまくるスピッツ犬みたいな事はすぐやめて、オモテ舞台のリングで堂々と戦う土佐犬になったらどうぜよ!!、、名人、抑えて・抑えて、そう興奮しないで下さいね、あの方は中央の選挙にも出ませんよ、国会議員ではありません、そんな度胸もありません、ただの・ちょんまいスピッツ犬ですから。

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