<生涯学習・人生の掟>吉田兼好児 ”寺子屋” 徒然草 4月24日は〔植物学者〕牧野富太郎の誕生日です。  

 

土佐の方言で≪いごっそう≫という言葉があります。この言葉は、両極端の土佐の男性気質を表現します。ひとつは、「彼には何回言っても解かってくれない、本当に頑固者だ」という意味。もう一つは。「彼は何でも徹底的にやるたいした男だよ」と云う、悪い意味・良い意味の≪いごっそう≫です。男の≪いごっそう≫に対して、土佐の女性気質の表現は≪はちきん≫です。男四人が組んでやっと太刀打ち出来るぐらい頭の切れる賢く・たくましい行動力のある女性、どれも良い意味です。女性に対して悪い意味の≪はちきん≫はありません。土佐の≪いごっそう≫男も、龍馬の乙女姉さんの様に強くて賢い・たくましい土佐女に勝てなくて悔しくて≪八きん≫と、洒落れた様です。

土佐には‘いごっそう‘’と云われる歴史上人物は大勢います。その中の一人が人気者の坂本龍馬でしょうか。龍馬は、幕政の圧制との軋轢・渇望からの反骨エネルギーと目標達成に向けての強い信念と情熱、粘着力、剣術修行で鍛えられた俊敏な判断力、集中力と思索力、人並みはずれた行動力、歩きながら考える<ヒラメキ>型人間で、時代を変える秘策を発見し日本を動かした土佐いごっそうと云えます。

龍馬の様な幕末偉人ではありませんが、土佐で生れ、土佐で育ち、土佐の大自然の野山を駆け巡り、幼少の頃より草花に人並みはずれた興味をもち、その生涯かけた探究心と情熱と行動力で、名もない植物を世に知らしめた偉人・世界的な植物学者:牧野富太郎博士も≪いごっそう≫です。 牧野富太郎博士は、探究心、粘着力、集中力、研究に於ける飽くなき持続力、思索力、俊敏な判断力、人並みはずれた行動力と、歩きながら考える<ヒラメキ>型の人間で、自然環境を愛で世界の第一人者となりました。坂本龍馬も牧野富太郎博士も精神面で共通する土佐のいごっそうです。

スポーツ・ビシネス・学術・芸術・文化一般・ノーベル賞受賞者など、世に達人・粋人と呼ばれる人物に共通するものは、彼らの人並みはずれた強い興味と探究心、粘着力、思索力、集中力、俊敏な判断力、人並みはずれた行動力の人間が多いのも事実です。現代社会では、形より個性・知識より知恵と、よく云われます。価値観・世界観・幸福観でのライフスタイルが問われる時代となりました。社会的道徳が希薄となり犯罪が多発する今日、1)金 2)物 3)人 と云われたバブル期から大きく変わる時代となり、1)人 2)物 3)金の逆順の時代です。さらに付け加えるのならば、1)に心です。

1)心 2)人 3)物 、そして最後に 4)金 です。心(精神)の有り方が、人(ライフスタイル)を創り、術をあみ出し物(成果)を成し、無理もなく自然に金(褒美)がついてくる。 この‘’自然に金がついてくる‘’という事が肝要です。

お金を儲けるとは、順序は1)金です。金儲けを目標に生きている。

お金が儲かるとは順序は1)心・人です。自然とお金が最後についてくる。

企業で云えば、利益追求で人の心を大切に考えない経営者であり、一方は、心・人を大切にして社会貢献を目標に考える経営者となります。

原発事故を例にとれば、経営者がこの基本順序、第一(金)で、利益追求にはしり、海辺に原発(物)を造り、事故の発生で住民のライフスタイル(心・人)を破壊した事実です。

原発事故は我々地球に生きる人間に自然環境への愛(心・人)を第一に考えなければならないと警鐘する機会となりました。

少子化時代、全国各地で今、社会に順応するリーダー的人材育成への課題が取り上げられています。人材教育とは、知識を軸に知恵と行動:頭と足のバランス感覚をマスターする生涯教育を意味します。

親を観て子は育つと云われますが、親子も裕福で、子離れ・親離れもしてなく、双方未熟児の家庭環境での知識の詰め込み、形のみを求める教育では、利己主義的な非社会順応型・非道徳型・秩序破壊犯罪型の人間が生れてもなんら不思議ではありません。精神面での教育を抜本的に見直す必要があります。

☆高度情報化社会では特に、判断の俊敏性・行動の機敏性が要求されます。

★学校教育では、発想の柔軟性、タスク達成への粘着性、俊敏な判断力、行動の機敏性、 物欲・金銭欲に拘らない価値観・人生観などを考えさせるオリエンテーションが必要の様です。

★毎日マスコミを賑わす政官スキャンダル・彼らの倫理観。子供の頃からペーパー試験にパスする事のみを目標に成長して社会人となり大企業トップ・エリート官僚や政治家になった日本のリーダーと呼ばれる御仁達。そんな御仁と余りにも違う土佐’’いごっそう’’の生きざまと精神を振返り、生涯教育でのリーダー的人材育成が如何に大切か解ります。

★道半ばで殉死した坂本龍馬ばかりでなく、一途に一本道を、土佐‘’いごっそう’’精神で貫き、自然環境を愛で、世界的な植物学者となった牧野富太郎博士を、もう一度、記憶に留め置きたいと考えます。

注)南国土佐・高知市五台山にある財)高知県立牧野植物園は設備も大変充実した国際的な施設です。