吉田兼好児の速筆エッセイ集「音の履歴書」より 高校時代ジャズに目覚める

白木秀雄クインテットと可愛い少女・歌手伊藤ゆかり

 

◆耳にする音楽すべてに多感な高校時代・LPレコードも普及し色々な音楽を聴いた、「ペレス・プラード楽団」・「ビリー・ヴォーン楽団」・「ベルト・ケンプフェルト楽団」などなど。年末恒例の“お茶の間”人気テレビ番組はNHK紅白歌合戦だった・・。ジャズ歌手も登場した・笈田 敏夫や旗照夫そして、土佐高校の英語教師のご親戚だった武井義明など。また、同級生で将来はプロのジャズドラム奏者になりたいと言う仲間もいて、みんなでレコードを持ち寄り一心不乱に聴いたジャズは、ジーン・クルーパ楽団だった・・。そんな頃に高知の田舎にも東京から本格的なジャズ楽団がやってきた・・それが、白木秀雄クインテットだった・・。メンバーは、福原 彰(tp)松本英彦(ts)世良譲(p)栗田八郎(b)白木秀雄 (ds)・歌手は、11歳の少女“伊東ゆかり”だった・・・・。

◆実父の直ぐ年下の妹(伯母)は隣街に住む清岡一族の親戚に嫁いだ・・夫婦は、僕が高校時代には、はりまや橋通りで電気屋「芸陽社」を営んでいた・・伯母は、家電製品の仕入れ販売を担当し、そして叔父は、手作り電気品の趣味が高じてそれが業となり・電子部品販売、電気回路基板・無線機器・音響機器の委託受注による設計製作及び家電修理をしていた・・。

伯母夫婦の長男(従兄)も僕も同じ高校で自宅は、学校に徒歩5分ほどの潮江地区にあった・・授業が終わると時々、従兄の家に立ち寄った・・彼の部屋には、当時の一般家庭ではあまり目にしない・叔父が店の仕事場で、特別に息子のために設計製作した音響装置があった・・・。音響装置の横にあるボックスには、趣味のレコードコレクションLPレコードが“ずらり”と収納されていた・・・。僕のリクエストに応えて、従兄は一枚・一枚レコードの表面にスプレイをかけ丁寧に拭きながら・・手慣れた手つきで、そっと静かにカートリッジを落として、音を聴かせてくれた・・・トランペットの音色が響きわたる“セレソローサ”「ペレス・プラード楽団」、心和ませる・浪路はるかに「ビリー・ヴォーン楽団」、美しい旋律・星空のブルース「ベルト・ケンプフェルト楽団」などが・・いつも、心に焼き付いている・・・・。NHKテレビ番組では年末恒例「紅白歌合戦」も始まった・・。男性のジャズ歌手も登場した・・紅白常連は、旗照夫・笈田 敏夫などだった・・。僕がもっとも魅せられたジャズ歌手は、高校2年生の大晦日「紅白歌合戦」に出場した武井義明だった・・豊かな声量とメリハリの利いたノリの良さで唄った「South of the Border」は素晴らしかった・・。武井義明(たけい よしあき)は、高知県出身で・しかも、僕が通った高校の英語教師のご親戚だったと聴き及んでいる・・。彼はジャズ専門誌「スイングジャーナル」の人気投票で男性歌手部門1位に18回選ばれたジャズ界のトップ歌手だった・・・・。この頃、田舎の高知にも本格的なプロのジャズ楽団がやって来た・・ジャズ好きのクラスメイトと一緒に、その公演を見に行った・・・生まれて初めて、目のあたりにしたジャズバンドの音色に、驚き・そして感動し“これは・・凄い!・素晴らしい!”と、只々呟くばかりだった・・・忘れられないそのジャズ楽団は、「白木秀雄クインテット」・そして、白木秀雄のキレる“マーチ”ドラミングのイントロで登場した歌姫は、なんと・当時11歳の可愛い少女、“伊東ゆかり”だった・・。

 

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