本日の新球団設立記者会見にて発表がありました。私、益田詩歩は2012.1.1より大阪ブレイビーハニーズへ移籍します。

今回の移籍の話を受け正直に、私はうれしく思っています。
新天地で挑戦する機会を与えていただけること、新球団の設立に携われることは野球選手として光栄です。
私は晴れやかに胸を張って高みを目指し旅立ちたいと思っています。

ですが兵庫スイングスマイリーズに女子プロ野球リーグ設立より在籍させていただいた二年間、これをなくして私の野球人生を語ることはできません。
少し長くなりますが最後のブログなので、二年間私が感じたことを書きたいと思います。

2009.12.21のドラフトで私は兵庫スイングスマイリーズへの入団が決まりました。
大学1年まで女子野球を経験した私は割り振りを見てスマイリーズが力を持っていることにすぐに気づきました。そして自分のブランクや周りの実績に不安感を抱きました。
弱気スタート、これが一年目の本当です。
チームで一番力がないんじゃないか、私になにができるんだろう。
ワクワクと希望を抱いてトライアウトを受けたはずが、自分が得意なバッティングにもネガティブな考えしかなく、劣等感のかたまりでした。
キャンプを終え、初年度シーズンが始まっても不安は消えずに与えられたチャンスをものにすることが出来ずにただ日々と試合が過ぎていくといった感じ。
無安打で迎えた前期最終戦、最終打席になるであろうネクストバッターズサークルに向かうときに上から声が聞こえました。
『ここでやらな!次ないで!!』

開幕前のイベントでお会いしてから女子プロ野球を応援してくれている一家のお父さんでした。私がプロ野球人生で始めていただいた、厳しいお言葉。私はその言葉で目覚めました。自分が立っているのは応援される位置だということ、自分の活躍を期待してくれている人がいること。そして彼らが見ているのは自分の過去でも実績でもなくその瞬間グラウンドに立っている自分だと言うこと。ある意味開き直れた私はその日がプロ初安打となりました。
そして関東遠征を経験し身近な人が観戦に来てくれたことで応援されている自覚は強くなり尻上がりに若干ではありますが手応えを感じていきました。
初年度優勝、ですが契約更改で私はプロ初年度減俸を受けました。

二年目は自分のために戦う。自分の技術向上を目指して、レギュラー奪取。オフシーズンは特性を伸ばせるように練習に励み二年目の開幕スタメンを勝ち取ったのもつかの間で..開幕とともに不振ですぐにベンチ、ベンチ外と落ちていきました。
こんなときは、私はとにかく考えます。自分のするべきこと、あるべき姿。答えが出るときもあれば出ないことの方が多いのですが。
そんなときに、このブログが始まったんです。
私は毎日、毎試合ブログを書くことにしました。
自分が出た試合も出ていない試合も、調子がいい日もなにもうまくいかない日も、客観的に主観的に感じたことを書きました。すると私には良い風が吹きました。ブログを書くことでさらに客観的な意見を知ることが出来た。そして何よりファンの方をとっても身近に感じることが出来ました。

一年目に抱いたはずの自覚が少しずつ戻ってきて、それ以上に強くなりました。試合に出れなかったときも『次はだーますのヒットで試合決めてや!』『だーますのホームラン期待してるで!』と、かけてくれる声にファンの方は純粋にスマイリーズの野球観戦を楽しんでいるんだなと感じ、、そんな純粋さに対して“自分のネガティブって、いらないじゃん?”答えが生まれました。
チームが勝てたらうれしいファン、チームが負けたら悔しいファン、次第に私も“自分の成績”より“チームの勝利”を意識するようになりました。
後半戦は負け越して中盤を過ぎたり終盤でも対戦成績が五分五分であったりと戦い的には苦しかったはずです。だけど勝利を信じているファン、私はその思いを感じ強くなれていたし、負ける気がしなかった。勝てた試合ではじけるスタンドを見るのが何よりもうれしかったです。

最後に私の心に起きた転機が9月25日、後期第17戦の試合でした。
シーソーゲームのペナントレースでは優勝を占う大事な三連戦の三日目。勝利が見えた最終回に小フライがあがり厚ヶ瀬とタッキーさんが飛び込みました。凍った空気に包まれ、私はタッキーさんを担架で運び出しました。その表情と左腕は今季絶望を確実視させました。

野球は団体競技ですので、私はいろんな人の持論を聞きます。チームメイトには勝利を意識しつつ自分の成績も頭に置いている人やとにかく自分の出来ることを!とがんばる人など、それぞれにそれぞれのモチベーションがあります。
私はタッキーさんの持論を聞くのも好きで、あまり話す人ではないのですがたまに話してくれました。『正直自分の成績はどうでもいい。チームが勝つことが一番大事でしょ。全員がそうであってほしい。』。感化されやすい私はその言葉に良い影響を受けていたところでした。

その日勝つことは出来たけどその代償が大きすぎて、そして何より野球が大好きで誰よりも熱い人の怪我、野球の神様がいかに酷かを知りました。雰囲気がよくなり始めて笑顔での優勝を思い描いていただけに、その日はかなり落ち込みました。でもタッキーさんが抜けたから負けた、と一番言われれてはいけないと思ったし、タッキーさんに後悔してほしくなかったので奮起しました。
第18戦で私は初シンデレラになったのですがファンの方に『タッキーのおかげやな』と言われました。私はその通りだと思っています。

“チームのために”“チームメイトのために”最高のモチベーションを持つことが出来たのは私の野球選手としての財産です。



こんな二年間でした。
こう振り返ってみても技術どうこうではなく、精神面で多くを学んだ二年間だと思います。

私は人生で挫折を経験することが多く順風満帆にいったことはなにもありません。逆境があって、忍耐してそして花は咲くと思っています。

スマイリーズで学んだことを糧に、ハニーズでは技術的成長に励みたいと思っています。


みなさん、二年間背番号“44”を応援してくださってありがとうございました!!
スマイリーズファンの温かさが大好きです!
移籍しますが、球場でお会いしたとき声をかけてくださったら嬉しいですニコニコ

VIVA SMILEYS ☆!


これからも応援よろしくお願いします!!

   2011.12.13 益田詩歩 #44