女子ジャズ部活動vol.11〜大反響を呼んだ「おばあちゃん」ピアニスト、ビージー・アデール来日! | SwingJournalStaff(スイングジャーナル スタッフ)のブログ

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突然ですが、ビージー・アデールさんという女性をご存知でしょうか。『マイ・ピアノ・ロマンス』というアルバムを4月にリリースしたばかりのベテラン・ピアニストです。

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4月にリリースした『マイ・ピアノ・ロマンス』のジャケット。素敵なイラストですよね!

このピアニスト、おそらく一部のコアなファン以外はほとんどノーマークだったはず。小誌の編集部だって知りませんでしたから(笑)。ところが、このアルバムをあるCDショップでかけていたところお客さんからの反響が大きく、ものすごいセールスを記録したそうです。つまり、内容がそれだけ素晴らしかったってことですね音譜その後、TVでもたびたび取り上げられ、またたく間に知名度を上げて行きましたアップ

が、おそらくご存じない方もいらっしゃると思うので、簡単にご紹介します! ビージー・アデールさんは1937年生まれのアメリカ人で「グリーンヒル」というレーベルの代表的なアーティストです。これまでに25枚のアルバムを吹込んだベテランで、ジャズやポップスの名曲を上質な音楽に仕立て上げる職人的ミュージシャンと言ってもいいでしょう。日本で発売されたこのアルバムは、ジャズに詳しくなくても必ず耳にしたことのある<ラブ・ミー・テンダー>や<スマイル>など「超」がつく有名曲を、素直に優雅に美しくジャズに料理したとっても聴きやすい内容なんです。ジャズを聴いてみたいけれど何から聴いたらいいか分からないという人に、まずおすすめめしたい一枚です。

そんな彼女が5月に来日。東京・丸の内“コットンクラブ”でライブが行われるというので、さっそくお邪魔させて頂きました。この日はテーブルチャージが¥1000~という手頃な価格だったこともあって「溢れんばかりのお客さん目」という嬉しい状況。さらに、いつもは男性のお客さんが目立つジャズクラブですが、この日は女性のお客さんが多かったのも印象的でした。

さてさて、ビージーさんのライブ。現れたときは「キュートなおばあちゃん」といった印象でしたが、ピアノの前に腰を下ろすや否や雰囲気が一変! そして、その演奏力たるやまったく衰えを知りません。…「おばあちゃん」と思ったりしてごめんなさい。<スイングしなけりゃ意味ないね><スマイル><好きにならずにいられない><A列車で行こう>、そして極めつけ山口百恵さんで有名な<いい日旅立ち>をロマンティックに軽やかに演奏してくれましたニコニコ

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ビージーさんの魅力は、なんといっても原曲の魅力をまったく損なわず、それどころかその良さを引き出して美しいジャズ作品に仕上げている点です。だからお客さんを惹き付ける力がものすごいんですね合格レコード会社の担当者さん曰く「ビージーが<好きにならずにいられない>を演奏したときに後ろから見ていたら、お客さんが聴き入る姿勢に入っているのが分かって嬉しかったです~!」とのこと。

ジャズというジャンルの周りに張り巡らされた壁をさらりと取り払ってくれるビージーさん。リスナーのジャズ経験度によって聞き方は異なってくると思いますが、“何か”を与えてくれるピアニストであることは間違いありません。私の場合は、“ジャズの原点”のようなものを教えてもらった気がしましたべーっだ!

(編集部・はせべ)