一昨年『デューキー・トリーツ』をリリースしたグラミー・ウイナー,ジョージ・デュークの来日公演にうかがいました。
場所はジョージ・デューク世代のアダルトが似合う丸の内“コットンクラブ”。この日も,「昔はディスコでブイブイ言わせた風」のおしゃれアダルトで1階席は一杯。改めてジョージ・デュークの人気に驚かされました。
演奏が始まると会場はデューク・バンドのハッピーでファンキーなサウンドにノリノリ。中でもスタンリー・クラークに紹介してもらったというウエスト・コーストの注目若手ドラマー,ロナルド・ブルーナーJr.のバカテクぶりにファンの興奮度もMAX。北斗百烈拳を超える北斗千手壊拳ばりの手数と正確さ,シンバルが反対側に反ってしまうのではというくらいのアタックの強さにビックリ,ちょっとテンポが走ってしまう場面もありましたが,そこは若さゆえのご愛嬌ということで。
さて公演を観て,ジョージ・デュークは人を喜ばせる才能に長けている人だと強く感じました。サウンドはもちろん,トークもプロ並み,なんたってメンバー紹介でひとりひとりの出会いから人となりまで詳しく説明してくれるのですから。そんなミュージシャンはなかなかいないですよ。バックのメンバーもうれしかったでしょうね。しかも,演奏時間をオーバーしてアンコールに応えられなかったことをとても悔しがっていたのが何とも好感が持てました。
本誌ライター&カメラマン・大友洋さん(左)とジョージ(右)
その翌日,ジョージ・デュークのインタビューにうかがいました。ステージ上のトークと全く同じ様に理路整然と話してくれるのでとても分かりやすい。次回作のことや自身がプロデューサーとして関わっている作品のことなどたっぷりうかがいました。
特に興味深かったのが,マイルス・デイビスとの想い出話(彼はマイルスの『TUTU』に参加しています)。マイルスの印象を彼にきくと,しばし「う~ん」と考え込んでからひと言「クレイジー!」。これにはインタビュアーの大友洋さんをはじめ一同大爆笑。彼はマイルスに特にかわいがってもらったみたいで,いつも笑顔でフランクに話かけてもらったそうです。で,何でクレイジーなのかと問うと,「ある日,僕の友人といっしょにマイルスのところへ行ったんだけど,彼は平気で僕の友人にむかって“お前は帰れ”と言うんだ。マイルスは自分が気に入った人間にはとことん良くしてくれるけど,それ以外の人にははっきりと嫌いだと伝えるんだ。それが僕の友達でもね」との答え。
確かに一般的に考えてクレイジーだなあ…でも,だからあそこまで自分の望む音楽に対して妥協を許さず,とことん追求する事ができたのでしょう。まさに「You Rule!」。こんな感じでおもしろい話をたっぷりきけてとても楽しいインタビューでした。
ただ,体がちょっとダイナミックすぎて現在ひざを痛めてる様子。ちょっとダイエットをして回復してほしいものです。
(編集部・あずきざわ)