いぶし銀ピアニスト,二村希一の魅力とは・・・・・話は下手だがピアノは饒舌 | SwingJournalStaff(スイングジャーナル スタッフ)のブログ

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ジャズ専門誌「スイングジャーナル」のスタッフによるオフィシャル・ブログです。取材,編集などに追われるジャズ三昧の日常の中で遭遇した,興味深い出来事をお伝えしていきます。

 去る3月16日に新宿“SOMEDAY”に初めて行ってきました。
 お目当ては,いぶし銀という言葉ぴったりの名ピアニスト。
 店内に入ると,今までのライブ・ハウスのイメージを覆す大きなスペースに驚きましたが,そんなスペースにお客さんがいっぱいなのに二度びっくり。仕事を終えて,ちょっと遅れたかなーと思いながら息せき切って駆けつけましたが,幸い演奏は始まっておらず,誘ってくれた友人を見つけワイワイ再会を喜んでいるうちに開演。お目当てのピアニストが登場しました。その方のお名前は二村希一さん。彼はキャリア30余年の大ベテラン。この夜は高尾幸宏(b),安藤信二(ds)とのトリオでした(写真↓)。
$SwingJournalStaff(スイングジャーナル スタッフ)のブログ-二村さん1

 二村さんの素晴らしい演奏に聴き入っていたら,ふとある想い出が甦ってきました。それも二村さんの素晴らしいピアノのせいかもしれませんが・・
 何十年も前に,日光・男体山の登山をと勇んで出かけたことがありました。若かった私は,たぶん休日の前の晩,新宿の空気の悪い酒場あたりで夜更かしでもしていたのでしょう。次の日曜日の早朝,待ち合わせの日光まで行ったには行ったのですが,生憎悪天候のうえ私の体調が悪く,とても登山は出来そうもないので下で待っているからと申し出たのです。それでは,高徳牧場でも散策してと,いやな顔一つせず私に合わせてくださった同行者が,二村さんの妹さんのたまみさんでした。お兄さんである希一さんの話がその時出ましたが,LIVEでお会いするような機会も無く何十年もの歳月が過ぎていきました。
 ところがひょんなことから,たまみさんと熱海のホテルでのお兄さんとボーカリストの安部久美子さんの定期ライブを聞きに行こうというプランが持ち上がりました。静岡で活動している安部久美子さんは私の旧知の友人で,東京からとても素晴らしいピアノの二村希一さんに来ていただいている・・と言う話を聞き,たまみさんのお兄さんをこの機会にぜひ聴きたい,そして熱海の温泉につかりたい(本音?),という理由からめでたく全員が快諾。日光の時のメンバーが,久々に熱海で再会することになったわけです。お兄さんはあれからピアノ一徹で,今やジャズ界の名バイプレイヤーとして定評のある存在。その演奏は予想以上のものでした。
 以来,二村さんのファンとなった私はここSOMEDAYに来た訳です。この夜は,たまみさんとご家族もかけつけていました。ご両親はこんなに大勢のお客様の前で,話しの下手なわが息子は大丈夫なのだろうかと心配そう。$SwingJournalStaff(スイングジャーナル スタッフ)のブログ-二村さん2特に頭の格好がうりふたつのお父様は,「私が息子に代わってスピーチ出来れば」とまでおっしゃっていました。が,ピアノを弾き出すと別人のような饒舌ぶり。ゲストのチカ・シンガ-さんも熱いスキャットを披露し,満員の客席からはブラボーの声! お客さんと一緒に至福の時間を楽しみました。(これが二村さん。ちょっと気取ったポートレイトにしてみました→)
 二村希一さんはこのトリオで,5月1日(土)静岡“ハニーサックルローズ”,5月19日(水)吉祥寺“サムタイム”でもLIVEです。皆さんもこの「いぶし銀」を味わってみませんか。(総務部・みつい)