⭐️日本では、ほとんど演奏される事のないターキッシュ・クラリネット。烈しい音色かと思えば、哀愁を帯びた優しい歌声のよう…。トルコの人々の生活に密着したクラリネットと、その独特のサウンドについてをご紹介していきたいと思います。


⭐️クラリネット吹きが大スター!?

 21世紀のこの時代に、トルコではTVのバラエティー番組で、司会をしながらセンターでクラリネットを吹き、有名女優と浮き名を流す、そんなスターがいます。最近でこそデータになったけど、CDの時代にはインストで20万枚以上売り上げるなんて事もザラだったよう。トルコのクラリネット事情はあまりにも知られておらず、今なお独自の進化を遂げているようです。




⭐️その特徴!(アルバート・スタイル)

  トルコで使われているクラリネットはG管で、現在日本をはじめ、アメリカ、ヨーロッパで普通使用されているBb管、A管よりも10cmほど管体が長いです。(写真左がBb管)しかもキーシステムが日本で普通に使われているベーム式(指使いが違います)ではなく、アルバート式(ジャーマンスタイルとも)です。よく見ると、キーの配置や形も違いますよね?この二つのシステム、指使いが微妙に違います。この、微妙にというのが厄介で、咄嗟に間違った指使いをしてしまうのです。従って、どちらのシステムも両立して演奏出来る人が殆どいません。




✴︎初めて買ったターキッシュ・クラリネットのCD💿(今はデータで買うか、YouTubeですね!)

✴︎ トルコのイケメンクラリネット奏者、Serkan çağri(セルカン チャウリというのが近い発音)

✴︎20万枚以上売り上げたというCD💿(joy of the clarinet)この方のYouTubeは殆ど100万回超え

⭐️なぜ?G管クラリネットが?(歴史的背景)

 現在ターキッシュ・クラリネットと呼ばれているG管クラリネットが🇹🇷トルコに登場したのは、19世紀前半にトルコ共和国の前身のオスマン帝国の軍楽隊が、それまでの形態からヨーロッパ式のマーチングバンドに再編成された時のようです。それまでの軍楽隊では、ボルー(トランペットのような楽器)、ズルナ(チャルメラのようなダブルリードの楽器)、ナッカーレとケス(片面太鼓、のちのティンパニー)、ダウル(両面太鼓)、ジル(シンバル)、チュウゲン(バトンのようなもの、鈴)といった編成だったようで、ズルナ(チャルメラ)のサウンドのイメージが、G管クラリネットを後釜にすえた理由のように思われます。ちなみに、それまでの軍楽隊ではユニゾン(全員同じメロディ🎵を演奏)でしか演奏しなかったそうです。(トルコの音楽理論参照)(執筆中)




☆オスマン帝国では、皇帝、将軍、大臣などが、それぞれ軍楽隊を持っていて、制圧した都市を通過する時に演奏し、競って独自性をだそうとしていた様です。演奏🎵といっても、占領地の人々を怖れさせるのが目的で、そのためか軍楽隊員には地位があり待遇はとても良かったようです。ベートーヴェンやモーツァルトもトルコマーチを作曲していますし、昔の方が、音楽家は暮らしやすかったのかなぁ。😅

 余談ですが、鉄など金属に飛び抜けて優れた技術を持っていたトルコ、今でもシンバルなどがトルコ製が優秀なのは、こんな歴史があるからなのですね!



intense



⭐️西洋では、クラリネットはA管、B管が主流になって落ち着いていきますが、🇹🇷トルコでは20世紀に入ってからもG管、アルバート式のクラリネットが使われ続け(クラシックではA管、B管ですが)、トルコ古典音楽との融合、流行歌や西洋のポップスとの出会いなど、独自の発展を遂げていったようです。いずれにしても、G管クラリネットの音色がトルコの人々の心をつかみ続けているということを、あまりにも世界に知られていない事が驚きです。



ターキッシュ・クラリネット②に続きます!



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