★金子富之 × ガヴィル / SOUVENIR JACKET_” 震虎　SHINKO”★

金子富之 × ガヴィル / SOUVENIR JACKET_” 震虎　SHINKO”

新型コロナウイルスによるパンデミック下にあった 2021 年 5 月、東京・市ヶ谷にある「ミヅマアートギャラリー」にて、金子富之さんの個展『辟邪の虎』を鑑賞した。

鑑賞後の想像以上の強烈な印象に、茫然自失で余韻に浸っていたところ、　　＜この虎の前でドラムを叩いてみたい。＞　という中村達也の突然の閃きに、私たちは、ただただたじろぐばかりであった。しかし作家である金子富之さん、そしてギャラリーサイドがその閃きを快諾してくださり、後日、急遽お客様のいないギャラリー空間の中で、中村達也の独り叩きは行われた。

460×480cm という非常に大きな吉祥麻紙（麻の繊維を主原料とした和紙）に、金子さん特有の多彩な絵具で彩られたその巨大な虎＜大舞虎＞は、中村達也の凄まじい一打一打によって、今にも平面体から飛び出して、魂を持ってこの空間に襲いかかってくる程の臨場感を与えた。

また、小さく連続する一打のリズムは「巨大な虎」の睨みつけるような眼球が、ゆっくり動いてこちらを捉えて離さないような恐怖感さえ覚えるものであった。

平面で鑑賞した時に感じた圧巻の迫力の＜作品＞たちは、中村の打撃の振動により完全に生命を吹き込まれた＜生き物＞に姿を変え、息を呑む瞬間の連続に変貌した。

この 30 分弱の＜大舞虎 × 中村達也＞、双方の共演で生まれた感動を、いつか何らかの形で＜ガヴィル＞で表現したいと考え、今回ガヴィルの souvenir jacket = スカジャンとしての製作を相談、金子富之さん、ミヅマアートギャラリーのご協力を経て、ついに完成した渾身の一枚となった。

従来のスカジャンより少しゆとりのあるサイジングにこだわり、中村の好むポップでアンマッチ、奇抜な色使いの配色に、金子さんの作品＜震虎＞を、刺繍職人の非常に細かな技巧で再現した A 面。そしてスタイルを選ばず着用できるシンプルなオールブラックを B 面とし、今回も両面で異なった表情をもつ 1 枚に仕上げた。使うほどに肌に馴染んでいく滑らかさ、適度なドレープを産む質感、そして鈍く光るレーヨンという素材を持って、着心地にもこだわった。

＜震虎 SHINKO＞のデザインは、T シャツ、そして後日発表予定の＜SOUVENIR BAG＞にも使用させていただき、合計３部作品として完成に至った。

妖怪や精霊、神々など、目に見えない精神的な存在の実体化を山形の地で製作し続ける金子富之氏の世界と、豪快と繊細、狂気と清廉、怒りと海容。相反する一打の音の世界を生み出し続けるドラマー中村達也氏とのコラボレーションの逸品を是非手にとっていただけると幸いです。

- ＜金子富之　profile＞現代日本画家

1978　埼玉県生まれ

2003　東北芸術工科大学美術科日本画コース卒業

2006　同大学大学院日本画研究領域修了

2009　同大学大学院芸術工学研究科博士課程修了

2015 ～ 2016　文化庁新進芸術家海外研修員（シェムリアップ / カンボジア）

現在　山形在住 https://www.kanekotomiyuki.com/

ミヅマアートギャラリーでは、2023 年 11 月 22 日 ( 水 ) - 12 月 23 日 ( 土 ) の間、金子富之展「辟邪神」の開催が予定されています。金子さんの原画作品を鑑賞できる貴重な個展となっています。是非足をお運びください。 https://mizuma-art.co.jp/exhibitions/2311_kaneko_tomiyuki