これまでの記事内容から乳酸は疲労物質ではなくエネルギー源だという事がお分かり頂けたかと思います。
エネルギー源だと分かれば、いわゆる耐乳酸トレーニングと呼ばれるトレーニングへの考え方も変わるのではないでしょうか。
乳酸に耐えるのではなく乳酸を使う
乳酸に耐えろ!と言われたりしますが、
乳酸は耐えるものではなく、使うものです。
(耐乳酸という言葉が乳酸利用とか乳酸リサイクルという言葉に変わってくれると良いなと思います)
キツくなって体が動かなくなってきた時、動かないキツさに耐えるのではなく 泳ぐ為のエネルギーが大量にあると考えると気持ちは前向きになります。
キツくてなってもキツい運動を続けるためのエネルギー源は大量にあり、乳酸はハイパフォーマンスを助けてくれます。
そしてキツいところからハイパフォーマンスを発揮するように取り組む事で、レーススピードで乳酸を使う身体を作る事に繋がります。
乳酸産生と利用能力…しっかり乳酸を出して使える身体にするために、十分に栄養を補給してレーススピードトレーニングに全力で取り組むようする事が重要です。
最後に 高強度運動中の疲労原因についてですが
高強度運動中に乳酸から分離した水素イオンが蓄積して細胞phが酸性に傾く…代謝性アシドーシスが原因ではないか と言われていますが、テストにより筋収縮を阻害するほどの影響は無いことが分かっています。
現在のところ、これだ!という疲労原因となるものは無く 疲労原因は様々で、いくつもの要素が合わさる事で運動疲労が起きている というのが運動生理学の答えになっています。
人それぞれ 体組成・身体的&精神的コンディションなどは違う訳で、そこに環境要因が加わると 疲労原因になる要素が複雑に絡まり合い、これが原因だと絞るのは難しいことなのかもしれません。
先日ボウズと会った時に、乳酸に耐えるという話が出て 乳酸についての誤解がまだ広く残っていると感じたので、今週は乳酸のことについて書いてきました。
なるべく難しい言葉を使わず、ざっくりと書いてきたつもりですが、分かりにくいところがあったらすみません。
こちらの本は、乳酸研究においての第一人者でらっしゃる東京大学の八田秀雄先生の本です。(いつかお会いできる機会があればお話を伺いたいと思っております)
専門用語が出てきますが、乳酸についての情報はこちらを読んで頂ければよく分かります。
特に競技スポーツ現場の指導に携わる方には是非オススメです。(八田先生の本は他にもあります)
さて明日はいよいよ三重冬季、選手達は良い感じで仕上がってると思うので自信を持ってレースして欲しいと思います。