前回まででルネサンス音楽は終わりで、今回はバロック時代の音楽について書いていく。バロック時代では、皆が聞いたことがあるような作曲家で何人か出てくる。1600年頃から1750年まで(ルネサンス音楽時代の終わりからバッハの死まで)の時代を指す。バロック時代の音楽の特徴を以下に示す。

 

 

歴史的背景

ルネサンス期からバロック期へ以降する16世紀ごろ、かつて強大な権力を持っていた教会も弱体化し、諸侯や貴族たちも百年戦争などで疲弊、地方に権力が分散し、強い力が発揮されなくなった。その中で、王朝が中央集権化を図り絶対的な権力を得ることに成功した。世の中はガラリと変わり、王様が世の中を支配する時代(絶対王政)になる。

 

 この絶対王政をいち早く樹立したフランスは、王の力を誇示するため「ヴェルサイユ宮殿」をはじめとする豪華絢爛な建物や様式を作り上げた。王たちは庶民の暮らしなど全くわからず、「パンがないのなら、ケーキを食べればいいじゃない」というフレーズが生まれた。王や貴族たちは、市民から搾り取った血税で夜な夜な豪華なパーティをして、国が揺らぐほどのお金を浪費した。

 この時代、王や貴族が贅沢三昧であり音楽も彼らの贅沢の一部として使われた。大金を使って人気作曲家を雇い、イベント毎に曲を作らせた。また、作曲家や演奏家も王に認められるために切磋琢磨して音楽を研究した。ヴィヴァルディやリュリといった作曲家が宮廷音楽家として活躍した。

 

 

音楽の特徴 

 ルネサンス時代の音楽の象徴は「美や調和」のポリフォニー音楽であった。この音楽スタイルは大変美しい和音を奏でることはできるが、音楽的に強弱の対比や起伏がつくりづらく、それぞれの旋律が別々の歌詞を歌うため言葉(歌詞)の意味がわかりづらいことがデメリットであった。

 そしてルネサンス後期から、このデメリットからの脱却を目指す動きが活発化する。ホモフォニーという音楽で、ある1つの声部(メロティ)を主役とし歌詞を歌います。そしてそれ以外を脇役とする様式が生まれる。このことにより、歌詞がわかりやすくなり、音楽に感情表現やドラマティックな展開が可能となった。そして、それがオペラと協奏曲である。

 

 

音楽のジャンル

・トッカータ

主に、鍵盤楽器で演奏される即興的で技巧的な楽曲のこと。16世紀のイタリアではじまり、その後ドイツにも広まっていく。(バッハのオルガン曲)

 

・カンタータ

単声、または多声の器楽伴奏付の大規模な声楽作品、または交声曲のこと。「歌われるもの」を意味する。

 

・オラトリオ

イタリアで始まった、宗教や、道徳的なテーマによって作られた、独唱、合唱、管弦楽のための大規模な音楽作品のことを言います。オペラなどとは違い、動きや衣装、舞台などの背景装置を伴わない叙事的な楽曲のことです。

このスタイルは、古典派、ロマン派へと受け継がれ、名曲がたくさん残されています。

 

・アリア

叙情的で、メロディアスな独唱曲で、オーケストラなどの伴奏で歌われる。オペラ、オラトリオ、カンタータ等の中の作品の中で、一楽曲として存在する。「誰も寝てはならぬ(プッチーニ)」、「G線上のアリア(J・S・バッハ)」等が有名。