ついこの間 あたしの心にいたあの人を 殺してしまった──

そして 今は また違った趣の人が あたしの心の中で 生きている──

嗚呼 この人をあたしは また いつ殺してしまうかわからない

もう あたしは誰も殺したくないのに

あたしは殺すために人を育てる

だから ほら あの人も もうすぐあたしの 心の中

あたしのやさしい紳士たち おいでおいでの手招きに ふらふらきちゃあいけないよ

だってあたしは 殺人魔

だってあたしは──

心鬼の飼い主 いつだって 誰だって 殺す鬼の──
昼白色の光 あたり一面

  ひびく雷鳴が いやに恐い

とどろく いなづま 一すじの光

  激しい雨が 肌に痛い

僕の不安を 一挙にもってきた雷鳴

僕に不安を 与えて逃げた雷鳴

もうすこしで つながる橋を

もうすこしで 渡りきる橋を くずして逃げた

僕は絶望と希望を捨てきれず

また 橋をかけようとしたけれど

向う岸は 崖くずれ 何もかも流されて まっているはずの君が──

雷鳴とともに 消えていた
青い鳥 逃げた  赤い鳥 逃げた

僕の猫 逃げた  僕のあの娘 逃げた

空が 高いや  雲が 高いや

あんなに 低かった空が 今日は 高いや

僕には とべない  あの空は とべない

君はとんでく 禿鷹の如く
      うが
僕の心 穿って 逃げた
     みず         しとね
僕は 涙がきらい  夢の褥にころがって

ただ 青い空 見つめてる

届かない空 手をのばしても 高い空

僕は ただ一人 こののどかな世界にとどまって

僕だけが生き残り 老い死んで逝く

ほら また逃げた── 青い鳥