はじめの1時間目はHRだった。


年間スケジュールや受験についての説明があった。




あたしはそんなことより浅野くんばかりが気になった。




黒板をみようとすると一番前の端っこだからほぼ横を向いている状況になる。



そうなると浅野くんが視界のギリギリのところに入るから。






先生の話なんてまったく耳に入るわけなんてなかった。







あたしの意識の大半は彼に向いていて、
視線だけは教壇に立つ担任をみているようだった。





浅野くんは、腕組みをしたまま無表情でじっとしていた。








そんな姿を見て、取っ付きにくそうだと思った。









腕組みは人を寄せ付けないように威嚇をしながら
大切ななにかに守っているようにも見える。








あたしはその大事な何かにそっと手を伸ばして触れてみたい。

そしてあたしを大事な物の一つに加えてほしいよ、浅野くん。