「このゲーム好きだったけど、あなた達に疲れた。戻ってきてKくんを頼った雪見がバカだった。」

Kくんに会うなりそう言った。

「俺はただ柚菜が好きなだけなんだ。」

そんなこと言われたって心は動かない。


「雪見のアイテムどうした?」

「Oに全部あげた」

「それじゃ戻ってこれないじゃん。いてよ、このゲームにだけでも。」

「無理だよ。」

「好きなんだよ。」

「いい加減にしてよっっ!!!!」


キレる柚菜。


「こんな風に追い込んだのはKくんじゃん!!!」

「違うんだ…。そうじゃないよ、柚菜。」

雪見が戻ってた時に雪見のしている特別なリングに目をつけたのはOくんだった。
そのリングを持っているのは当時では珍しかった。あるイベントでKくんと一緒に取ったものだった。
そしてそのリングは本人以外は使えない物だった。
…でも抜け道があった。
ある方法を使ってそれをはずす。
そしてそれを持った人が所有者になれた。
Oくんはそのリングの所有者になる為に雪見に近付いたという話を聞かされた。
Kくんは反対したらしい。
Kくんはただ雪見がそばにいてくれることが嬉しかっただけだった。
それが、雪見とOくんが仲良くなり恋人にまでなってしまった時にその狙いに荷担したとKくんは話した。


「最初っから騙されてたんだね。」


リアルで涙が出た。

携帯がなった。Kくんからだった。
試しに出てみたら…Kくんは泣いていた。


「柚菜…やっぱり無理なのか…?」

「Kくんがそうさせたんでしょ。」


そう言って電話を切り、着信拒否にした。

その日接続していた友人達に挨拶が済むまでが柚菜がこのゲームの中で雪見でいられる時間だった。
長年やってきたゲーム…こんな風に自分の意思ではない形でやめることになるとは思わなかった。


結局、リングも渡した。
だけど彼らの思惑通りにはいかなかった。
渡すことは出来てもリングはそれを拒んだ。


リングを修理すると、Kくんが雪見に残したメッセージが浮かび上がる。
雪見に対する想いの言葉。
それが砕け散った。

――――――――――――

Kくんの電話のあとにOくんからもかかってきた。
Oくんは真相を知った雪見に対してすまなそうにしていた。

Kくんが話してくれたことは真実だった。ただひとつ違ったのは、雪見を好きになれそうだったということ。


「アイツさえあんな態度を取らなければ、少なくともそれまでは雪見が好きだったんだ」


そんな言葉はもう信じない。

Oくんも着信拒否にした。


――――――――――――

その日、接続していた友人はそれほど多くなった。
みんな一様に引き止めてくれた。
中には恋人になってよ、守るから。
そう、言ってくれた人達もいた。
でも心は動かない。


1時を過ぎた頃…気付くと蒼が接続していた。


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