それでも感謝の気持ちが大きかったから、じろーに思い出の品とかきあつめた10万をあげた。


それらをじろーが売ってしまっても構わないとさえ思った。


話している途中にKKがきた。
KKだと分かったのは、あたしの家族欄を見てすぐにあたしがPKだと分かったからだ。

一般人にはまずその感覚はないから。


そしてその人はじろーの友達だった。

「あーPKと話してる。」

そう言われた。


やっぱりそれが普通の反応なんだと思った。

話しているだけでその反応なんだから、恋人なんて到底無理。

あたしは既に環境が壊れているからどうしようもないけど、それにじろーを巻き込むことは出来なかった。

だからあたしは既に諦めていた。


その人をやりすごしてからもじろーからの説得や思い出話が続いた。


じろーとのやり取りだけで3時間半。


その日のあたしの睡眠時間は1時間。
だけど良かった。


じろーがログインしたことに気付かなければ、あたしが内緒話を送らなかったら、嫌な気分のまま、この世界から消えていた。
でも今の気分は違う。
この世界に属することが出来て楽しかったと思えた。

ありがとう、じろー。
言い残して、そしてログアウト。



さよなら、『さゆ』。

さよなら、この世界。