あたしが経緯を話している間、じろーは黙って狩りを続けていた。
あたしはサポートをしたかったのだけど、動かないでと言われた。守っている意味がないでしょと言った。

守られているというのは心地よかった。

恋人に守られていた時もそう思っていたけれど、それとはまた違う。

じろーは恋人ではない。
知り合ってからも短い。


『ほんとにやめるの?』


話がすべて終わってもそう言われた。

あたしはそのゲームをアンインストールすると答えた。
アンインストもそうだけれどインストールするのも実は時間もさほどかからなく出来る。
ただこれはあたしの決意の現れだ。

前回の引退(復帰してしまったことで休止扱いになるけど。)した時でさえ、さすがにアンインストは出来なかった。

あたしの思い出までなくなってしまうようでそれが出来なかった。


でも今回は違う。
苦しかったし、寂しかったし、悔しかったし、悲しかった。
それならもういらない。
だからこそ。

それを聞いてもじろーは

『そう言っても離れられるの、この世界から?
姿を変えて続けるんじゃないの?』

という。


分かってもらえないけれどあたしの出した答えはアンインスト。

繰り返しそう答えた。


『オレさ、やめてくやつ何人も見たよ。
あれはいつもなんだか寂しい嫌な気持ちになるよな。』


KKやPKは意外と辞める人が多い。
この世界が長くなればそれだけ見送る人も多くなる。

あたしもそうだ。
寂しい気持ちにはなるけど、その人が現実の世界を重視することであれば、引き止めない。

ただ去りたくはないのにそうせざるを得ない時には引き止める。
2回だけ。

同情心を煽りたいがために言い出す人もいるからだ。


でもあたしは同情心なんていらない。