日時早まる。 | 宵の明星(卵巣がんを受けとめて)

宵の明星(卵巣がんを受けとめて)

2009/2父がすい臓癌3月母が肺癌発覚。二人の看病中同年/11月私に卵巣癌発覚。自分の抗癌剤治療中(TC6回)両親を看取り喪主を務める。2011/3再発TC11回終了。途中カルボアレルギー。2012/10カルボ脱感作+ジェムザール、ハイカムチン、ドキシル、アバスチン治療中


29日(日)前日は台風の日

来年6月に決めた教会での本申し込みや、
ホテルで簡単な試食会があると言うので娘が申し込んでくれました。

台風が去った翌日の暑い日。
真っ白な夏の季語である雲の峰が視界の一角にあって、
その雲を水縹色が支えて映える。
少し風もあってね。
なんだか夏を体験することが滅多になかったから
外に出た途端にワクワクだ。
脱水やむくみを心配する主人は、自分で救急セットなるものを用意し、外でラインが逆流したり取れたり、ストーマが外れたり、膿が大量に出ても困ることのないように、bagを担いでる。
水分補給の水パックまで点滴でいつでも落とせるようになっている。

まずはホテルで11時。
試食は食べ放題です。
それぞれのコーナーに2人づつシェフが立ち、
綺麗に盛り付けてくれる。
広い披露宴会場に
来ているのは10組くらいかな。
若い2人だけだったり親もいたり。
ふふ。私達はどう見ても、無料なのでいただきに来ましたー、の雰囲気丸出し。ぷぷ。
メニューはこのホテルでは有名なナポリタンや
シュリンプドリア。
オードブルやデザートは美しく飾られて。

私は一皿づつしか食べられなかったけど
自分では満足したよ。
なんだかやっぱり嬉しくて。
笑顔の若い2人を見るのは心が温まる。
そうね。娘の自然な笑顔を見るのはただ嬉しくてね。

いろんな味の小さなものが並んでるのは私にぴったり。ホタテのムースや焼き林檎のスライスを乗せたもの、スティック菓子に生ハムや鴨肉だったかな、エビもいたかな。ひとつづつ説明されたけど聞いちゃいない笑

男性陣は何枚もお替わりしてたよ。


写真からは想像もできないけど、中には海老が何匹も入って熱いチーズでトロトロです。


おまちかねです。スパゲティナポリタン。
一階のレストランで食べると2千円近い。
下では魚介がたっぷり乗りますが。


これは娘が食べた全種類デザートです。
私はアップルパイとカラメルプリンでギブアップです。


おかわり自由だから、みんなにもういいの?
まだあるよ。と勧めはするけど
私はもはや小腸の許容量を満たし、みんなもたくさんいただいたようなので席を立ちました。

さてと。
次は式を挙げる教会です。
私にとっては独身の若い頃、横浜元町で遊んだ後にこの教会まで歩いて楽しみました。
途中外人墓地や美しい異人館があるのでね。
千代紙専門店も一軒家でお店を構えていて、当時琴の手本は師匠の本を自分で写す、というものだったから、自分なりに表紙を綺麗な千代紙で貼ったりしてね。
そして美味しいお茶とケーキをいただくのはいつも一緒のところ。
ひとりでこうして歩く場所は、
この横浜元町か、鎌倉のお寺めぐりでした。




若い2人が事務手続きを終えて、
一緒に教会の中を当日の控え室やら時間の流れの説明を受けた後、
ちょっと気になっていたことを聞きました。

私は病気を持っているのでカツラなんですが、
難隠しに帽子を被っているのです。
当日小さくていいのですが、母親は帽子を被って構いませんか?

すると私より少し上くらいでしょうか、
いや、大丈夫ですよ。男性はいけませんけれどね。

ああ良かった。
私、ウィッグを素敵に被れないから、お帽子で分け目とか隠れると助かるのです。


さて、仕事も終えたので、結婚指輪を選ぶという娘達を元町でおろし、主人と途中、美味しいキムチ専門店で買い物をしてから(すでに私はヘトヘトなので車で留守番)家に戻りましたら、

急にひどい寒気がして歯が合わない。
ガタガタ震えて身体が氷になってしまったよう。
計ると39.9度。
脱水なのか、また別の理由なのか。
主人はまず水を浮腫まないようにゆっくり入れ、
カロナールは日常的に大量に飲んでいるので、
腎機能が危い私にはちょっと規制があるロキソニンを一錠飲みました。
そして眠気のままに泥沼の中で眠る。ねむる。


16時くらいから23時くらいだろうか、
ようやく自分を取り戻して周りと話せるようになり、熱も37度台にさがる。
今回はお腹の膿の傷が塞がって、様子見になっていたんだけど、ガーゼを替えてみると久しぶりに大量の膿。ああ、このせいかな。


それから、娘からの報告を聞きました。

あのね、ママ。
あれから2人で元町でお茶飲んでいたら教会の方から電話があってね。

お母様がお病気のようですから、本当は山手の信者の方しか祝日や日曜日は入れられないのですけれど、話を聞くとお母様は鎌倉の信者というし、
あなたも6年間カトリックの学校だったということで相談してみました。ぜひ早いうちにお式を挙げてお母様を安心させてあげなさい。
11月、空いている時間がありましたから、ホテルさえ取れればそこをどうぞ。

そう言われたの。
でね、ホテルに電話したら、会場は変わるけど大丈夫ですよ。って言うから変更したよ。
11月だよ。
忙しくなるね。ママ、一緒にいろいろ考えてね。


そうなのね。4ヶ月後なのね。
 ほんと言うとね、来年6月と聞いた時は、そっかー。頑張るね。って言葉しか言えなかったの。
あんまり先で、もしかしたら無理かも。って思うくらいに遠くてね。
でも11月ならたとえ具合が悪くてもきっと出席できるよ。
ありがたいね。

ママ、なんかね、その日は私達の前に挙げる方のお母様もお病気なんだって。
教会の人が言ってたよ。
その日は、そんな慈しみ深い日なんですね。って。

うん。そうね。決められていたのはこの日だったんだね。秋深く紅葉がきっと美しいよ。
山下公園のイチョウ並木は真っ黄色に輝いて、
披露宴が始まる会場の窓からは陽が落ちるのが早くなった秋の夜景が綺麗でしょう。

よかったね。

きっとみんなが祝福してくれるよ。