台風のような強い 雨の音が感じられる
色々な場所にぶつかる度に
雨の力が少しずつ弱まる
ビルとビルの間にプラスチック製と錆びない金属製で筒状の雨風よけが設置されていて
そこに雨がぶつかる度に 木琴のような音色が
そのフロアに響き渡る
ヤスヒコとチハルは
ジェームス角田の事務所を探していたがすぐにたどり着いた
その辺りではかなり有名なようで
近くのコンビニでかったるそうなアルバイト店員にセンカンヤマトの事務所をたずねると
店員はシャキッと姿勢よくなり
ものすごく丁寧に案内してくれたおかげで
すぐにたどり着いたのだった
雨音が奏でる音楽
そういう設計なのかと感心していたが
ジェームスのあの風貌から想像できないほどの
なかなかロマンチストだと思うと
ギャップに思わず笑いがこみ上げる二人
透明なガラス張りの入り口に
真っ赤な赤いスーツを着た女性が見える
ジェームスを迎えに来ていた人だ
年の頃は20代半ば
小柄なわりに存在感があり
少したれ目のせいだろうか常に笑顔に見える
派手なはずの赤いスーツは決してケバく見えず
知的な印象すらうかがえる
本願他力師匠の秘書のピッピッちゃんもかなり
個性的だが ジェームス角田の秘書も
負けず劣らず個性的だ
きっと優秀なのだろう
『 お待ちしておりました~ チハル様
と 空振り王子様
わたくしジェームスの秘書をしております
南 鈴 と申します~ 』
みなみすず はゆっくりとおだやかな話し方だ
ヤスヒコがすぐに突っ込む
『 あの なんでそんな冴えないボンボンみたいな呼び方するのですか? 』
『 あら ではお伺いしますけど~
空振り王子 と呼ばれる事の確率が
一生の中で どれだけあると思います?
ふふふ ~ 』
『まず めったにはないと思います。
そもそも 空振り王子って
聞いた事がないですし 』
『 なら 幸運な事のように思えますよね~
めったに言われない 呼び方だし
王子様なのだし 』
『 そう言われると なんだか そう思います
でも 空振り って なんだか 』
『 からぶり それは 一気に読むからそう思うのです~
カ ✴ ラブリー
とかかわいらしい印象にも変えられますし
考え方次第 捉え方次第デスヨ~ 』
『なるほど 、…
って ああ、
キリマンジャロ の正式な呼び方が
キリマ ンジャロ みたいな ものですか?』
『 あら~ 解ってもらえますう? 』
『 はい 。もう 空振り王子でいいです 』
チハルが退屈そうな様子に気づいて
南が動く
『あ!これは失礼 ささ
奥へどうぞ~( ゚∀゚)つ 』
南がスッと手をかざすと
自動ドアが横ではなく奥へと開いた
部屋の奥に入ると シンプルな事務所
飾り気のない
白と黒の二色に統一された まさに事務所
しかし 良く見ると
デスクは黒 椅子は白
文房具の1つ1つも 白と黒
白いホチキスや 黒いハサミ 鉛筆までもが白
ここまで徹底されると お洒落に思える
ジェームスの趣味がシンプルを好むのだろう
『やぁー 良く来たねぇー 』
ジェームスが嬉しそうに登場
『 それでは早速応接室を
お借りさせてもらえますでしょうか?
今から
超プレミア会議
ア ノハコドースルー
を初めるので
あ、別にジェームスさんはお忙しいでしょう
から こちらで勝手にさせてもらうので、 』
チハルが少し芝居がかった話し方で
誘いを仕掛けた 先ほど南とヤスヒコのやりとりを見ていたせいなのか
区切りかたが 独特のニュアンスを持たせた
『ア ノハコドースルー ‼』
当然ジェームスが食いついた❗
チハルは、それを横目で確認しながら
こそこそとヤスヒコに話しかける
『 ヤスさん 今ょ 』
『アノハ コドウ スルー ですね 、
でも 会議するからには 頭が多いほうがいい会議になるのでは? 』
ジェームスがヤスヒコの問かけに 嬉しそうに
答える
『 そう そうとも 、 会議は 色々な角度から 見たり データを分析するにも
仮説をたてて 的を絞り より具体化していき
多数決など 決めつけて 進める方法もある!
必要なら ホワイトボードでも PCでも
なんでも使ってくれ❗ 我々の頭もなんなら
使ってくれ❗ 』
『ありがとう☺ジェームスさん 』
またしても
チハルの
引き出し交渉術テクニックで事が進んでいく