カランコロン コロン ロン ローン

レストランの静かなフロアに音が響きわたる
どんな仕組みであんな音になるのか 
ふとドアの上についている 
金鈴などついているのだろうと
目を向けるが何もついていない 

奥の席に 師匠とピッピッちゃんが座っていた

『 師匠ご無沙汰しております 』
ヤスヒコ
両足をピッタリ合わせ 丁寧におじきをすませ
目の前に座る

『 お!ヤス  元気そうだな 
いや 元気になりに来たのだな 、
まぁあれだ  パスタはあまり好きじゃないのだけど  この店はスパゲッティだから大丈夫なのだよ  』

師匠はあらかじめ頼んでおいたと思われるスパゲッティがスッと運ばれて来た

ピッピッちゃんはパチパチとまばたきしながら
スパゲッティをとりわける 

『 社長 このスパゲッティ太いですね
 (・_・) … 』

『 ピッピッちゃん はまだ若いから知らないのだろう これがすスパゲッティなのだよ 

師匠いわく 
スパゲッティは和食であり昭和の喫茶店やら洋食屋さんでは定番であった

最近の細いスパゲッティは味がからみずらく
ソース自体薄くしないと味がくどくなる

そのため 昔のように 濃厚なソースと太めんの
食べごたえがしっかりある味を覚えている年代の人からすると 別の食べ物と言うことらしい

食べ終わると またあらかじめ頼んでおいたと思われるタイミングで 
ミルクティーとオレンジジュースと

コーラが運ばれて来た

ミルクティーはヤスヒコ 
オレンジジュースはピッピッちゃん
の前にスッと出され 

コーラだけ ワゴンの上に 
まるでシャンパンのように 
ぎっしり氷がしき詰められた中にビンに入った
コーラーが コーラ様と言った感じで
うやうやしく 運ばれて来たのだった

チェーンが付いた銀縁のメガネに
モヒカンを無理やり落ち着かせたような髪型の
ウェイターが 
真顔でコーラの蓋を勢いよく開け
薄口に作られたビアグラスにスッと注ぐ

飲み始めてすぐに 師匠は目を細めながら 

『 ヤス、物を見せくれょ お前でも売れないものなんだろ 』

本願師匠は察しがいい 
ヤスヒコはジャックユニオン流 交渉術をほぼ
マスターしていて 実に色々な物を売ってきた
壁にぶつかるたびに本願の元へ相談して解決する
最近は 壁を自力で越えるようになり
師匠の事務所には 
新年の挨拶や面白い出来事など 本願好みの面白い話 がある時などに顔を出す程度だった

『 師匠明日空いてますか? 』
電話の声のトーンだけで ヤスヒコの様子が理解されたようだ


『 これなんです、 』
鉄の箱を
テーブルの上に コトンとおいた

本願が箱を手にとりまじまじと見る
ピン❗と来た顔で

『 なるほど! 1万円だな  
ヤス1個 1万円で売れ  』 

原価は一つ15円である 
中にダイヤとか入れるのか?
いや入り口が狭いから無理だ

金などを溶かして?

オブジェ的な物にする?

ヤスヒコは必死に考えた
師匠からのヒントは1万円である

ジャックユニオン流をもちいると

まず誰に売る
どう売る

 敵を知り己を知れば百戦あやうからず

だから
 1万円を出す人にピントを合わせて考える
お金持ち? いやいや 逆だな 
お金が欲しい人に売るべきだ
数がかなりある  

宗教団体とか作ってなにかの証的な物にするか?

いやこちらもお金がないから予算がかけられない

ヤスヒコが悩んでいると本願が指をパチンと鳴らすと ウェイターが会計を持って来た

『 ヤスょ スパゲッティは俺のおごりだ
コーラだけおごってくれなぁ  』

ピッピッちゃんがコーラ以外のお会計をスッとすませて コーラだけのお会計伝票をヤスヒコに笑顔(^.^)で渡しす

『 ヤスさん 寝る時に考えてはダメですわよ』

『 あ‼ ありがとう 』

渡された伝票には 

コーラ 本願様用 1000円とあり

『あのコーラ 1000円もするだぁー まぁそうだろなぁー そうだろなぁ  あんな風に出されたらそうなんだろう 』

1万円で売る
寝る時に考えてはダメ 
付加価値 がすごい コーラ様

レストランを出てすぐにヤスヒコチハル
電話をした