『 何かおかしな事でも? 』

キリッとした表情 小柄なわりに重圧を感じる
その立ち姿に体幹のブレなどみじんもかんじない
一見して ただ者ではないことがわかる

ヤスヒコは少し慌てながら必死に笑顔を作り
師匠からもらった名刺を出して

『 あ!あの 師匠いらっしゃいますか?』

するとその娘が笑顔になり 
 きゅっと両足を揃え 深く頭をさげながら

『 あら! 失礼 社長に会いに来たのですね、
 私 秘書の 平原綾子と申します 😣💦⤵』

急にかしこまった 綾子のギャップにヤスヒコは
好ましい印象をうけた

綾子はすぐにキリッと表情がもどり 
テキパキと話し始める
『 失礼ですが  貴様は誰ですか? 』

『 師匠にどの様な件で
 何をするつもりでございますか? 』

『 私を見て 笑顔で近づくのは 下心ですか? 』 

『 カラオケとか誘われても 私行きませんょ‼』

きさまは誰だって … 

丁寧そうな言葉にところどころ角が立っている
警戒心丸出しというより 
師匠に対しての忠誠心がしっかりと伝わってくる
政治家の秘書とか 将軍のお庭番とか そういったイメージ  
うかつに近づくとサックり刺されそうだ 
自分のペースで 交渉をすすめることがなかなか出来ないでいる 

盾をもたず両手に剣を持っている
攻めるが勝ちの 交渉術なのだろうか  

綾子に問いただされていると
赤い扉が開き 師匠が出て来た

『 おー 来たか わかぼうょ 
ピッピッちゃん  暑そうなお茶入れてくれる? 』 

綾子は 師匠から ピッピッちゃんと呼ばれているらしい 

『 はい! 』 綾子はすっと 奥に入った

部屋の様子は事務所というより 工事中の路上
打ちっぱなしのコンクリート  

駐車場とかにある 三角のコーン 普通は赤だけど ここのは緑 
何処からか持って来たようなドラム缶
キャンプなどで使用される 折り畳みイス

『 まぁ座ってよ  そこのあたりにさ 』
師匠が指さしたその場所は 折り畳みイスではなく その横にある  木の切り株 

ヤスヒコが戸惑いながらその切り株に座ると
師匠が笑顔で
『 いいねぇ わかってるなぁー  そうそう 
立場を理解しているようだね  』

すると師匠はドラム缶をテーブルのように目の前に置いて キャンプ用のイスにすわる

奥からピッピッちゃんが お寿司屋さんで出てくる湯飲み をすっと運んできた

『 どーぞ 遠慮しながら飲んで下さいまし 』
ピッピッちゃんが 笑顔ですすめる

ヤスヒコは両手で湯飲みを持ち 頭の上に一度上げて うやうやしく湯飲みに口をつけた

中身は常温のミルクティーだった

師匠はその様子をじっくりと見つめながら
笑顔で話しだす

『 わかぼうょ  センスいいな  遠慮しながら飲んでる様がなかなかいいょ 
合格だ!  』

『 ありがとうございます❗』
ヤスヒコは何に合格したのかわからなかったが
なんだか嬉しかった