あれは20年近く前のことだったと思う




地元創価の会館で「セミナー」が開催され




参加した




健康セミナーとか




平和セミナーとか




「セミナーセミナー」




いわゆる新会員獲得を目的に開催される




だいたいはつまらない話




その日も期待していなかった




タイトルはおそらく




仏法セミナーだったと思う





ますます期待できない 





その日 




元気な中年の男性が講師だった

 



初めは聞いてなかった




だけど




うん?




……これって…




わたしがずっと…




知りたかったことじゃない?




もっと前に遡る




教学の任用試験を受験するために




地元婦人部の個人授業を受けた




でもわからない



「南無妙法蓮華経」




何やらすごい力があるという




なぜ?




その力ある言葉




なぜ漢字なの?




なぜ文字に力があるの?




おそらく変な質問だったことだろう




婦人部の人は困っていた




もちろん明快な答えは返ってこない




わからないまま




歳月は流れた




しかしいま




目の前で




マイクを持って語っている人




あのときの疑問に答えるような話




教学ではない




わたしの知りたかったこと




どれほど衝撃的だったか




説明できない 




正しいかどうかじゃない




理解できたかどうかもわからない




ただわたしは感動して




震えて




終わっても立てなかった




こんなことは初めてだ




しばらくそのままでいて




友人を誘わなかったことを激しく後悔




池田大作の話なんか聞き飽きた




世界広布新時代とか意味不明




わたしは




生まれてからずっと創価の中にいて



法華経の一部と題目を毎日唱え



数え切れないほどたくさんの会合に出て



多くの幹部の話や体験を聞いてきた




それなのに




肝心の題目の意味  




仏教の思想性




聞いたことがない




八万法蔵?



末法がどうした? 




そんなことよりいま目の前で




震えるような話を聞いたのだ 




とりあえず




近くにいた幹部さんに聞いた




あの講師の人は誰なのですか?





「あーあの人ね」


「先生にとても近い人なんだけどね」


「ちょっと前におかしくなった人なのよ」



…………………




なんて失礼なんだろう




おかしくなるってどういう意味?




しかも上から目線で




創価学会そのものだ




あんな話聞いたあとで




よくそんなことが言えるな




あんたの方がよっぽどおかしいわ





そんなことを思いながら




会場を後にした




失礼な幹部さんから聞いた




講師の名前は友岡雅弥さん





あれから約20年の歳月が流れ 




今度はわたしがおかしくなったと言われた




今ではとっても偉くなった




その幹部さんに。