真冬の怪談
深夜午前1時を少しまわった頃。
僕は一人、夜道を歩いていた。
かなり頭が痛い。
飲めないクセに、あんなに飲むからだ。
自分で自分をなじるも、今となっては無意味なだけ。
しかしよく終電に間に合ったと思う。
いつもの自宅までの帰り道。
刺すような冬の冷気も、今夜はちょうど良い。
ほてった顔と頭が落ち着いていく。
細い路地、間隔の空いた街灯、家までの距離を長く感じた夜だった。
いつも耳元で明るい音楽を奏でる僕のMP3プレイヤーは、朝の通勤の時点ですでにパワーを失っていた。
今聞こえてくるのは、冬の寂しい風音と自分の足音のみ。
マフラーをギュッと巻き直し、少し早歩きになる。
コツコツコツコツ……
ふと後ろを振り返る。
誰もいない。
風が、強い。
「……ぇょ」
ん?
猫か何か鳴いただろうか?
気にせず歩く。
やけに背中が冷たい。
「……ちゃえよ」
何か聞こえる。
誰かが何かささやいている。
あたりを見渡しても誰もいないのに──。
自然に早歩きになる。
心臓の鼓動がうるさい。
頭に響く謎の声。
「……ぇちゃえよ!」
「食べちゃえよ!!」
ギィヤァァァァァァァァァァ
恐怖が僕を支配した瞬間――!
気づくと目の前に、白く明るく光る建物が。
音もなくスッと開く扉。
誘われるように中へ。

「……」
「ありがとうございましたー」
家に着き、コートを脱いで、手洗いうがい。
さぁ、いっただっきまーす!
プリン、エクレア、モンブラン♪
お酒の後は甘い物に限りますね。
“男子スイーツ部 理想のプリン”。

これは嬉しいボリューム!
甘さ控えめだけどコクたっぷりで、なによりカラメルソースがとってもビター!!
続く“Wクリームエクレア”は、島田紳助さんが絶賛したことで爆発的にヒットしたスイーツ。

ホイップクリームと、トロトロのカスタードクリームが口の中にあふれてとろけます。
噂通りうまい!
最後は、おっきなおっきな
“さくさくメレンゲモンブラン”。

これでもかと乗せられたクリームは栗の味が強く、中のメレンゲの香ばしさとよく合います。
このボリュームと味が280円とは驚きです!
正直、コンビニスイーツをあなどっていました。
確かに僕の苦手な食品添加物は入っているのでしょうが、それも仕方のないこと。
手軽に安く、いつでもどこでもおいしいスイーツが買えることこそが一番の魅力なのですね。
あの謎の声は、自分の欲望だったのかもしれません。
いやはや、なんとも恐ろしい。
あらためてお皿に手をのばすと……ヒィッ!!
気がつくと……。
お皿の上には……なんにも乗っていなかったんです……。

人生初の恐怖体験を味わったスガっちなのでした。

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