旅行者の目的地は「カフェ巡り=韓国」になりつつある

 

韓国好きの私は渡韓歴こそ浅い(現在12回)が、一回の滞在でスイーツを求めて20~30軒のカフェを巡ってしまうほど、韓国のカフェ文化に魅了されている。ソウルの街を歩けば、数メートルごとにオシャレなカフェが目に飛び込んでくるが、その密度は東京の比ではない。

 

観光客で埋め尽くす「明洞(ミョンドン)」、若者が集う街「聖水(ソンス)」「弘大(ホンデ)」、ロケ地巡りで人気の「水原(スウォン)」など...いつでもどこを歩いていても手にコーヒーを持った人とすれ違う。韓国では女性のコーヒー愛飲率も高いというが、メガカップのアイスコ―ヒーを片手に歩く姿を頻繁に目にする度(これほどまでか?)と驚く。

 

画像
東灘(ドンタン)駅

 

直近2回の渡韓で滞在したのはソウルから電車で1時間ほどの郊外の街、京畿道(キョンギド)華城(ファソン)市の 東灘(ドンタン)地区だったが、そこでもホテル周辺にはチェーン店を含めて数十軒のカフェが軒を連ねており、朝から深夜まで多くの人が入れ代わり立ち代わりで入店していく姿を目にした。

 
画像
深夜まで営業するチェーンカフェ

 

日本の東京で例えるなら、自由が丘のような?都心から少し離れた新興住宅地だが、、“スイーツの街”と呼ばれている自由が丘だけに、他の地域に比べれば訪れる若者の割り合いも、カフェを含めた飲食店の数も多いであろう。が、しかし、朝からやっている店はあっても、深夜まで空いているカフェはゼロに等しいだろう。このように、お店の数・営業時間・人の流れ・習慣...などから言っても、日本と韓国ではその“絶対数”からして大きな差があると感じる。

 

【andew(アンジュ)】世界一やさしいチョコレート オンラインショップ

 

 

画像
生活に根付いたカフェ文化

 

韓国がここまでのカフェ大国になったのには、いくつかの理由がある。まず、ドラマや映画を見ていて感じるのだが、韓国では自宅が狭いことが多く、友人との待ち合わせや商談、さらには勉強の場としてカフェが日常的に利用される。日本のように「長居は申し訳ない」という空気感も薄く、一杯のコーヒーで何時間も過ごすことが当たり前だ。

 

また、これは国民一人の「コーヒーの消費量」にも言える。国際コーヒー機関(ICO)の統計によれば、2021年時点で韓国の一人当たりの年間コーヒー消費量は約367杯に達している。これは同時期の日本の約300杯を大きく上回る数字だ。人口比で見ると、韓国のコーヒー市場規模は日本の約3分の1程度でありながら、一人当たりの消費量では日本を凌駕している。

 

画像
圧倒的なコーヒーの消費量

 

さらに注目すべきは、韓国のコーヒー消費量が年々増加傾向にあることだ。わずか十数年前の2010年代初頭には年間200杯程度だったことを考えると、その伸び率は驚異的である。(この統計から約5年経った現在では、さらに数値の開きが予想される)この背景には、単なる嗜好品としてではなく、カフェという「場」そのものが社会インフラとして機能していることが挙げられる。韓国では、カフェは単にコーヒーを飲む場所ではなく、人と会い、仕事をし、学び、時には一人で過ごすための「第三の場所」として完全に定着しているのだ。

 

そして驚くべきは、その競争の激しさである。人気カフェの看板メニューが話題になれば、翌週には近隣の店が似たようなメニューを出す。インテリアのトレンドも目まぐるしく変わり、ミニマルな空間が流行れば街中がミニマルに、ヴィンテージが流行ればヴィンテージ一色になる。この競争が、韓国カフェ全体のクオリティを押し上げているのだ。

 

画像
データが示すカフェブームの根底

 

このような熾烈な競争環境の中で、韓国のカフェ文化は量的にも質的にも急速な進化を遂げてきた。2022年のデータによれば、韓国全土のカフェ店舗数は約10万店を超え、人口約5,100万人に対して約510人に1店舗という驚異的な密度に達している。これは日本の約700人に1店舗という比率を大きく上回る数字だ。特にソウル市内では、主要駅周辺や大学街では数メートル歩くごとにカフェが目に入るほどの過密状態となっている。「江南(カンナム)」や「弘大(ホンデ)」といった人気エリアでは、1つのビルに複数のカフェが入居していることも珍しくない。

 

ママのチーズケーキ

 

このカフェブームを支えているのは、コーヒーだけではない。韓国のカフェは「カフェ」という名を冠しながらも、実質的にはベーカリーカフェ、デザートカフェ、ブランチカフェとしての機能を併せ持つ複合的な飲食空間へと進化しており、特にパンやスイーツの充実度は目を見張るものがある。

 

画像
厨房が見えるベーカリー&パティスリー

 

韓国の人気カフェでは、パティシエや製パン職人を専属で雇用し、店内の厨房で毎日焼き上げる自家製のパンやペストリーを提供するのが当たり前になっている。例えば、コーヒーと相性の良いカフェメニューとして人気のクッキー、スコーン、マフィンといった定番から、クロワッサンやベーグルに韓国独自のアレンジを加えたクリームチーズやヨーグルトなどのテイストをフィリングにし、野菜や果物と共に具材をたっぷり詰め込んだ食事系&デザート系のパンやペストリーなど多彩だ。

 

そしてスイーツ系では日本でも爆発的な人気を得ているティラミス・バスクチーズケーキ・生ドーナツ・カヌレなどが人気で、狭い範囲にカフェが密集しどの店に行ってもコーヒーと共にこれらのスイーツを楽しむことができるようになっている。

 

画像
渡韓する日本人が増え続けている

 

【総 括】

 

日本のカフェ業界にとって、これは決して対岸の火事ではない。韓国カフェチェーンの世界進出は着実に進んでおり、若者を中心に熱狂的な支持を集めている。日本の喫茶文化は独自の魅力を持つが、韓国カフェの勢いは、まさに「驚異的」といえよう。いつか「カフェ巡りがしたいね…」「美味しいパンやスイーツも食べたい♪」「よし、韓国へ行こう!」という欲求・イメージ・行動がイコールとなる日がくるのかもしれない。

 

韓国カフェ・スイーツ編
次回は、「韓国エンタメがグルメ界をも凌駕する日」

 

※当記事内におけるすべての文章・画像等の無断転載・転用を固く禁じる。
この記事についてのお問い合わせは、下記の連絡先までご連絡ください。

https://amai-keiki.com/contact

 

ALL HEARTS MALL