有名な老舗が軒を連ねる東京・浅草。店の佇まいから特別感オーラを出してくる名店が多い中、知らないと絶対に通り過ぎてしまうであろう名店が『梅むら』だ。しかしこの店、休日ともなれば全国からファンが集まり行列を作るという豆かん好きのサンクチュアリなのである。

 

 

 

 昭和43年創業のこの店。なんと『豆かん』発祥の店として、数々のグルメ通を唸らせてきた東京を代表する甘味処なのだ! 発祥の店だけあり、<豆かん>とGoogle検索したらトップに表示されるため、<豆かん>好きなら絶対に1度は目にしたことがある名前だろう。

 

 

 

 20年以上前にすでに『孤独のグルメ』原作本で紹介されていることからもわかる通り、店内は男性1人でも立ち寄れる気さくな雰囲気だけに、私のようなスイーツ騎士以外の男性諸君にもぜひ気軽に立ち寄ってほしい。実際、1人で来る男性客は非常に多い

 

 企業秘密だという、門外不出のレシピで炊かれた豆は北海道のえんどう豆を使用。瑞々しく柔らかい豆は他店に群を抜いた一級品‼

ふっくらした豆、つるんとした寒天、そしてさわやかな黒みつがガッチリ手を組んで、なんとも清涼な世界があなたの口の中に現れるだろう。

そして噛むと一気に広がる、ふくよかな豆の甘み!豆のひとつぶひとつぶはほんの少しもつぶれていなかったのに、でも、噛みしめると、こんなにやわらかい!どうやったら豆のハリを残したまま、こんなに軟らかく炊けるんだ!

豆!豆!豆!

 

 1度この味を知ってしまうと、他の店の豆かんでは満足できない身体になってしまうかも……

 

 

  かつて浅草に料亭が多かった昭和の頃には、本物を知る女将たちから<豆かん>の注文が殺到したそうで、日に3度豆を炊くこともあったとか。あの映画スターたちも料亭経由で味わったかも……と思うと、まるで自分まで一流の男になった気分だ!

 

 ちなみにこの<豆かん>は「あんみつのアン抜き、フルーツ抜きで。豆多めで!」 といった常連のオーダーに先代が答えていくうちに出来上がったものだという。客の要望に真摯に応えるこの姿勢は今でも引き継がれており、季節や天気によって豆の炊き方を微細に変える心遣いはまさに匠!

一口、口に運べば高級料亭にいる錯覚に陥るはずだ。

 

【梅むら】

住所/東京都台東区浅草3-22-12

電話/03-3873-6992

営業時間/13:00~17:00、土・祝13:00~16:00 *店主高齢のため、臨時休業あり

定休日/日曜日

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